p28 – 36
5.源氏、女五の宮の見舞にかこつけて外出
〈p73 ある夕暮のこと、今年は諒闇のため、〉
①源氏→紫の上 出かける言い訳をする(いつものことだが)
女五の宮と来れば朝顔の所とピンと来る筈で源氏との問答は意味深長である。
→休みの日に出かける夫は言い訳を何やかや考える。いい加減でも真剣すぎてもマズイ。妻はその言い訳を鋭い直感で分析する。そして決して忘れることはない、、、。(単なるつぶやきです)
②源氏 見だてなく思さるるにやとて途絶えおくを、またいかが
→これはどういうことか?「何時も私があなたの傍にいるのも馴れすぎて面白くないでしょうからちょっと外へ行って来ます。その方が刺激になっていいでしょう、、、」ということだろうか。それとも最近アチラの方ちょっと御無沙汰しているということ? まさかね。
③「いでや。御すき心の古りがたきぞあたら御瑕なめる。軽々しきことも出で来なむ」
→女房たちのこの言葉面白い。ナレーションとしてぴったりではないか。
6.源氏、式部卿宮邸で源典侍に出会う
〈p75 桃園の宮のお邸では、〉
①式部卿宮邸に入っていく場面(荒廃した式部卿邸)
→脚注にもあるが末摘花邸の雪の朝の場面、夕顔の冒頭大弐の乳母を訪れる場面を思い出させる。
→蓬も出てくる。源氏は既にしばしば訪ねていたはず。修理でもしてやらなかったのか。
②女五の宮 眠たくて源氏の話を聞きながら居眠りをする。いびきみたいな音が聞こえる。
→リアリテイのある表現で面白い。
③源典侍、また出た~あ! 70か71才。紫式部はこの人大好きのようです。
老いの極みの強烈なる表現が続きます。
④源典侍 心ときめきに思ひて若やぐ
→そりゃあいくら年をとっても源氏を見かければ若返り華やかな気分になるであろう。
⑤源典侍登場の場面を整理しておくと、
1.紅葉賀 頭中に踏み込まれた場面など
2.葵 紫の上と葵祭りの見物に出かけたとき源氏に歌を詠みかける
3.朝顔 本段です
清々爺さんのたんなるつぶやき、源氏と同様で面白い。
言い訳はすればするほど、状況は悪化するものですよ。 最近の失言政治家もそうですよね。 シンプルなスピード感ある表現で、謝るべきは心から謝る、これが大切だと思います。
源典侍、まだまだお元気でなによりですね。 やっぱり好き心が長寿の秘訣なのかな?
ありがとうございます。
1.そうですね、「つぶやき」は本来他人に公表するものではない筈でTwitterを日本語で「つぶやき」と訳しているのは腑に落ちません。それとおっしゃるように言い訳はしてもダメです。攻める方はまた新たな攻撃材料を考えるわけで切りがありません。「物言えば唇寒し秋の風」(芭蕉)
2.源典侍、本当にお元気でけっこうですね。作者がしつこくこの老女を持ち出すのは時の経過を読者に知らせるためであるとの説を見受けました。紅葉賀で不義の皇子が生まれた時が57・58才、本巻での登場が70・71才。13年もの時が経ってるのですよと言う訳です。
それと本文にもありますが藤壷が37才の若さで亡くなったことを改めて残念に思う気持ちを言いたかったのでしょうね。
いそいそとお出かけ仕度をしての挨拶、紫の上、知らんっぷり。
夫婦の険悪な空気の会話、どこにでもよくある風景です・・・
荒れ果てた宮邸の様子に女五の宮、そして久方ぶりに源典侍の登場。
鼾をかく女に醜く好色な二人の老女の取り合わせが何ともユニークで滑稽です。
ありがとうございます。
1.それにしても源氏は紫の上によう嘘をつきませんね。末摘花も二条東院に連れてきてしまったので「常陸の宮の姫君のところへ行って来るよ」とも言えませんしね。どこかそういう方便を使える所を作っておけばよかったのに。紫の上に嘘はつかない!これが源氏の信条なんですね。
2.なるほど老女二人の取り合せですか、それは面白い。確かに鼾が効いてますね。