薄雲(7・8・9) G31-32年末年始 源氏・紫の上・明石の君

p182 – 188
7.明石の君、姫君の女房に歳暮の贈物
 〈p23 大堰では、姫君が限りなく恋しくてなりません。〉

 ①子別れの直後G31年末 明石の君は二条院の女房たちに歳暮を贈る

 ②源氏もキチンと月二回は大堰に通い明石の君を慰める(えらい!)

8.新春、人々参賀 花散里の好ましき日常
 〈p24 新しい年になりました。〉

 ①明けてG32年 新春の描写 うららかなる空に、、、

 ②二条東院 西の対に花散里を訪ねる。好色抜きの淡淡とした心地よい付き合い。

9.源氏、大堰を訪問する 紫の上との唱和
 〈p25 源氏の君は、大堰の山里の明石の君の〉

 ①新年も落ち着いた頃合いを計って源氏は大堰に出かける。
  「明日には帰るよ」 「どうですかね、あの方もいらっしゃるし、、」
  これが催馬楽 桜人を下敷きに見事に描かれている。脚注にある通り催馬楽あっての物語かも。

  紫の上 舟とむるをちかた人のなくはこそ明日かへりこむ夫と待ちみめ
  源氏  行きてみて明日もさね来むなかなかにをちかた人は心おくとも

 ②紫の上は大堰に行く源氏は恨めしいが可愛い姫君は憎めない。乳首を含ませて愛おしむ。
  →有名な場面です。子どものない紫の上、周りの人たちの声も聞こえる。
   つらいところです。ガンバレ、紫の上。姫君のお世話が一番慰めになったのじゃないでしょうか。

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6 Responses to 薄雲(7・8・9) G31-32年末年始 源氏・紫の上・明石の君

  1. 青玉 のコメント:

    姫君のいない大堰はどんなに寂しいことでしょう。
    まるで灯が消えたようでしょうね。

    花散里、一体歳はお幾つぐらい?
    いやに﨟 長けた感じがしますが・・・

    催馬楽は知らないのでよくわかりませんが源氏の「明日帰り来む」は催馬楽の「見て帰り来むやそよや明日帰り来む」からなのですね。
    面白いですね。とっさにこのように口ずさめるのは・・・

    うつくしげなる御乳をくくめたまひつつ戯れゐたまへる御さま・・・
    紫の上の美しいお姿と母性が光りますね。
    こんな幸せを享受したのですから源氏の大堰行きは大目に見てあげなくてはね。
    いかに思ひおこすらむ、我にていみじう恋しかりぬべきさまをとうちまもりつつ・・・
    明石の君を思いやられるのはさすがです。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      1.花散里の年令、これはヒントすらないので分かりません。姉(麗景殿女御)が桐壷帝の女御だから源氏より年下ということはないでしょう。立居振舞からみても少し年上かなと思っています。花散里の日常の様子が好ましきものとして描かれていますが殊更に「好色方面はなし」と強調しているところが面白いです。源氏にとって癒される女性ということなんでしょうか。(花散里はいつの間にか二条東院に入ってますが面倒をみてた麗景殿女御はそのまま中川邸にいるのでしょうか)

      2.催馬楽・桜人をベースにしたやりとり。機智とユーモアの内に真情を秘めてさすが教養人の応答かと思います。

        いたう馴れて聞こゆれば、いとにほひやかにほほ笑みて

       二人とも棘棘しないでニンマリしながら会話する。如何にも微笑ましい夫婦ですが。(でも場面は夫がおめかしして愛人宅へ行くのを見送る正妻ですからね、そんなこと普通はできないでしょうに)。

      3.おっしゃるように紫の上が明石の君を思いやるのはすごいですね。継子いじめもできそうな場面で可愛いものは可愛いものとして素直に可愛がる。いい女性です。

  2. 式部 のコメント:

     貴族階級というのもなかなか大変ですよね。漢籍、漢詩、和歌はもちろん必修、その上に催馬楽、東歌、風俗歌まで覚えなければいけないのですからねえ。
     でも考えてみれば、清々爺さんのカラオケ1000曲と同じことなのかな?
     私には覚えられませんが・・・
     内容がわかり易く俗っぽいので、流行っていたのかも?文字があったから歌詞は記録としてのこっているけれど、歌謡としてはもともとはどうだったのでしょうね? あれほどスローテンポだったのかな? 古代の庶民が唱っていたのですもの、もっとリズム感があって明快だったかもしれませんよね。 いろいろ勝手な想像を膨らませるのは楽しいです。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      おっしゃるように上流階級は教養として硬いものは勿論通俗的なものまで何でも覚えて臨機応変に使い分けたのでしょうね。今ならネットや電子辞書ですぐ出てきますが全て頭の中にたたき込むって大変だったと思います。

      色んなものを引用するってのは機智・ユーモア・笑いに繋がるからコミュニケーションには有用だと思います。

       (電話で)
       男: 雨だね、、「五月雨をあつめてはやし最上川」、、、か。
       女: う~ん、「雨が降るから逢えないの~~」、、、、
       男: なに、「雨ニモマケズ」、、さ
       女: じゃあ、「有楽町で逢いましょう」
       男: いいね、「俺は待ってるぜ」

  3. ハッチー のコメント:

    皆さん仰るとおり、紫の上は可愛くやさしい心を持ったいい女ですね。明石の姫がどう成長していくのか、紫の上と明石の君と姫の人間模様が楽しみです(初読で展開を知らないので)。
    それに、言わずもがなですが、“七”冒頭の “嘆きそへたり”は、源氏の君の訪問とさらには明石の入道との別れも含め、嘆いたと解したいです。でないと父親である私として淋しいので、あえて一言。
    これから、根津美術館に尾形光琳の絵を見に行きます。チート遅れ気味ですが、明日 10 11 12読みます。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      1.そうです。紫の上を一言で言い表すと「やさしい女」じゃないでしょうか。これからの展開をお楽しみに。

      2.なるほど父入道と離れてしまった哀しき運命に対する嘆きも入っている、、、。賛成です。このままでは入道の期待を裏切ってしまうのではないか、、、そういう焦りの気持ちも入っているのでしょう。「やはり姫は手放すのではなかった、、、」明石の君が自責の念に駆られるのも無理ないと思います。

      3.光琳の絵、楽しんできてください。浮舟図もあるようね。先日の尾形月耕の話はびっくりでした。仲間で源氏絵を画いてくれる人いませんかね。青玉さんの和歌を載せて54帖に仕立てれば面白いんですけど。

      遅れてもかまいませんよ、そのために土日の投稿は休みにしていますし。

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