p138 – 146
7.源氏、大堰を訪れ、明石の君と再会する
〈p320 御前駆も気心の知れた者だけをおつれになり、〉
①明石の君とは3年振りの再会。明石の姫君(満2才半)とは初対面。
→3人でヒシと抱き合い嬉し涙にくれる感動的場面だろうけどアッサリしている。
②乳母(宣旨の娘)、以前より美しくなって帰ってきている。
→乳母としては大事なお役目を成就したことで溌剌としていたのであろう。
→注に「出発前に源氏と男女関係あったらしい」とあるが、どうだろう。
(4月2日投稿澪標5を参照)
(実事に結びつけるのが好きな丸谷才一もここではなかったろうとの説)
③夜一夜、よろづに契り語らひ明かしたまふ
→そりゃあそうでしょう、だって3年振りですもの。。。
8.源氏、造園などを指図し、尼君をねぎらう
〈p322 翌日は、修繕しなければならない場所のそれぞれの担当を、〉
①造園など指図する。でも飽くまで二条東院に迎えるまでの仮住まい、あまり居心地よすぎて長居されても困る。
②尼君、のぞき見たてまつるに、老も忘れ、もの思ひもはるる心地してうち笑みぬ
→やっと源氏が来てくれた。尼君は「やった!バンザイ!」の心境だったであろう。
③尼君との対話 →誠に洒落ている。尼君の血筋・教養の高さが強調される。
尼君「荒磯蔭に心苦しう思ひきこえさせはべりし二葉の松も、今は頼もしき御生ひ先と祝ひきこえさするを、浅き根ざしゆゑやいかがとかたがた心尽くされはべる」
尼君・源氏の歌の贈答も素晴らしい。
待ちかねた源氏の訪れ、その光輝くお姿に明石の君、どんなにかうれしく待った甲斐があったというものですね。
乳母とのこと・・・注釈に私も「えっ本当?」と思いました。
姫君の可愛らしさに源氏も大満足だったことでしょう。
尼君、源氏からのの労いの言葉、思いやりにさぞかしうれしく安堵されたでしょう。
尼君「荒磯蔭に~・・・」素晴らしいです。
尼君の奥ゆかしさ教養の深さが察せられ、この母にしてこの娘ありといったところでしょうか。
ありがとうございます。
乳母(宣旨の娘)について澪標p204-206を読み返してみました。出自がこれほどしっかり書かれているのも珍しいと思います。
父 = 宮内卿の宰相(参議、上達部)
母 = 桐壷院に仕えた宣旨(女房)
夫 = 記述なし、子をなしたが夫にはかえりみられなかった
この人を見つけて来て明石に乳母として送り込んだのだが源氏はわざわざ彼女を訪ねて乳母になってくれるよう依頼している。その時の記述、、
御覧じ放たれず。とかく戯れたまひて、、
この記述をもって脚注8は「明石へ出発前に源氏との男女関係があったらしい」としている。
そうとも思うが私としてはここはなかったと考えたいのです。源氏の色好みは生来のもので片っぱしからの感はあるがあくまで女性を自分の相手として真っ向から挑んでいるもので、何か事を運ぶため色仕掛けで籠絡するとか、ましてや行き掛けの駄賃的に関係を結ぶなんてことはない、、、、そう思いたいのです。
→軒端の荻はどうしたって言われそうですが、アレは若気の至りで、、、
→それに引き換え惟光は色仕掛けの籠絡&行き掛けの駄賃が持ち味
読み方、色々あっていいと思います。自由に読み解いていきましょう。