蓬生 代表歌・名場面 & ブログ作成者の総括

蓬生のまとめです。

和歌

29.たづねてもわれこそとはめ道もなく深き蓬のもとの心を
   (源氏)  荒れ果てた末摘花邸へ

30.年をへてまつしるしなきわが宿を花のたよりにすぎぬばかりか
   (末摘花)  待ちわびた源氏の来訪

名場面

31.御さきの露を馬の鞭して払ひつつ入れたてまつる。雨そそきも、なほ秋の時雨めきてうちそそけば、、、
   (p48 源氏、荒れたる末摘花邸へ 国宝源氏物語絵巻の場面)

[蓬生を終えてのブログ作成者の感想]

末摘花の巻でさすがの源氏も「なんじゃ、これは!」と戸惑ったあのユニークな姫君の後日談、いかがでしたか。末摘花の巻であれだけ詳しく書かれていた姫君なので読者が是非その後を聞きたかったのでしょうね。それに応える作者も律儀ですし、一度契った女性のことは忘れないという源氏も律儀です。エライと思います。

この姫君、末摘花の巻の時(11年前)に比べて随分と進歩していますよね。受け答えも歌も「昔よりはねびまさりたまへる」と思いました。

憎々しい叔母や甲斐甲斐しい惟光の登場もあり。短編として読んでも面白いと思います。芥川龍之介に短編小説にしてもらいたかったですねぇ。

青玉さんには本巻を総括するに相応しい素晴らしい和歌を詠んでいただきました。ここに再録して敬意を表したいと思います。

  しのぶ草踏み分けくればゆかしけり
            くれなゐ棲めるよもぎふの宿

                (青玉源氏物語和歌集「蓬生」)

カテゴリー: 蓬生 パーマリンク

9 Responses to 蓬生 代表歌・名場面 & ブログ作成者の総括

  1. 青玉 のコメント:

    ありがとうございます。
    歌を詠むなんてとんでもないと思っていましたが今では巻末を楽しんでいる自分がいて驚きです。
    清々爺さんに身に余るテーマをいただいたことが今ではテキストを読むのに大いに役立っていることに感謝です。
    そうはいってもまだ先の長い話、歌で呻吟する日もあろうかと思います。

    さて末摘花の「かかる人々の末々いかなりけむ」
    続編でイメージが180度変わりました。
    この姫、無知なのか利口なのか鈍感で謎めいていて理解できないなんてさんざん悪口を行ったような気がします。
    今回の場面では強情っぱりですが我慢強く意志を貫く姿に孤高で気高ささえ感じました。
    そんな末摘花を源氏も健気でいじらしく思ったのではないでしょうか?

    そうなると又この後も登場するのか気がかりになります。
    それとも「幸せになったとさ」で完結するのでしょうか?

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      1.巻毎の歌を詠んで欲しいなどという押しつけがましい要求に快く答えていただき本当にありがたく思っています。漫然と読むより何か目標があった方がいいだろうと思ったものですから。楽しんでいただいているようで何よりです。どうぞ気楽に思う存分詠んでください。

      2.末摘花の人物像についてもいい議論ができたと思います。サイドストーリーとしてはこれでいいのじゃないでしょうか。この人はどうあっても幸せな人だと思います。

  2. ハッチー のコメント:

    清々爺へ
    青玉さんへ

    蓬生を読み、爺のおっしゃる通り、この一帖にて一つの短編を読んだかのようで、起承転結のある物語になっていました。

    本帖の小生の感想は、恋物語的ではなく、元サラリーマン的ではありますが、

    P56 ”うちつけ心みえに参り帰る

    P57 ”御気配たまはりつつ追従し仕うまつる

    辺りが現代風でもあり、懐かしく痛快でした。

    歌では

    藤波のうち過ぎがたくみえつるはまつこそ宿のしるしなりけり(P52)

    と、清々爺も挙げている

    年をへてまつしるしなきわが宿を花のたよりにすぎぬばかりか

    が良かったです。

    青玉さんへ

    ところで、今回初めて、“青玉“さんが創られた歌を、上記の清々爺のコメントで読みました。コメントできるほど、歌は解りませんが、すごいと思いました。くれなゐは、末摘花ですよね、これくらいは、解ります。この程度ですが、これから、おいおい“青玉源氏物語和歌集”を併読させていただきます。

    • 清々爺 のコメント:

      早いですね。もう追いつきましたね。後は旅は道連れ、1年半弱宇治までご一緒しましょう。都度のコメント何でも結構ですのでお願いします。

      1.サラリーマン的感想いいですね。おっしゃるようにこの巻は色恋の物語ではなく状況に応じ揺れ動く、人それぞれの心模様がよく書き込まれていると思います。会社が傾いた時どうするかみたいな話ですもんね。

       投稿でも書きましたが巻末の叔母の悔しがりよう・侍従の後悔をもう少し書いて欲しかったです(ここはボカシておくのがいいのでしょうかね)。

      2.自分がこれと思った和歌をリストアップしていくこといいと思います。私の代表歌・青玉さんの和歌ともども折に触れ読み返していると物語が思い出されてつながりますから。是非励行してください。

  3. ハッチー のコメント:

    清々爺へ

    ブログ 左側 欄外にある 緑色のファイル 青玉源氏物語和歌集 を初めて開けましたが、最近の歌が更新されていないように思います。更新の仕方があれば、御手数ですが、教えていただけますか。よろしく。

    • 清々爺 のコメント:

      私がサボっててまだ花散里までしかアップできてません。今月終わったら絵合まで二月分まとめて更新しようと思っています。お待ちください。。

  4. ハッチー のコメント:

    清々爺へ

    何もお手伝いもせず、PUSHをしてすいません。待ちますので、よろしくお願いします。

  5. 進乃君 のコメント:

     源氏物語の各帖のタイトルが好いですね。
    この「蓬生」(→ 何と読むのかなと思ったら、朗読で“ヨモギュウ”と
    読まれていて了解。)も、末摘花の荒れ果てた屋敷を一言で言い表していて、
    作者の 言葉の使い方の上手さと鋭い感覚に驚きます。
     所で、この帖、清々爺が「サブストリーだから気楽に読んで下さい」と
    コメントされていましたが、中々の濃い内容でした。
    抑々、作者の式部は この末摘花に相当入れ込んでいますね。
    極め付けは末摘花の返歌:「年を経て待つしるしなきわが宿を
    花のたよりに過ぎぬばかりか
    」これは凄い。
    “長年待っていた私の家に あなたはただ藤の花を
    御覧になるついでにお立ち寄りになっただけなのですね”
    この強烈な嫌味は作者そのものみたいです。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。源氏物語を楽しんでおられるようで何よりです。

      1.各帖のタイトル、素晴らしいと思います。「末摘花」と聞くとあの姫君のことを思い浮かべますが元々は紅花の古名、即ち花の名前なんです。優雅だと思います。そして「蓬生」、言い得て妙、おっしゃる通りこの一言で巻の佇まいを表しきっていると思います。

      2.紫式部も末摘花に入れ込んでいる、、、賛成です。サブストーリーが故に紫式部も思う存分跳ねるような気分で筆を振るったのじゃないでしょうか。面白いと思います。

      3.松と藤を題材にした源氏・末摘花の歌の贈答、素晴らしい、末摘花も成長したと思います。ただ私は末摘花は源氏に嫌味を言って切り返したのではなく(多少拗ねる気持ちはあったにせよ)、素直に喜んだと思いたいのですが、、、。

        「藤の花を見るついでにちょっと立ち寄って何もせずお帰りになるということかもしれませんが、とにかくお越しいただき色々お話もいただきましたことありがたくお待ちしていた甲斐があったというものです」

コメントを残す