蓬生(12・13・14) 末摘花救われる

p48 – 58
12.末摘花、源氏と対面、和歌を唱和する
 〈p253 姫君は、それにしてもいつかはきっといらして下さると、〉

 ①待ちに待った源氏の来訪。相変わらず戸惑う末摘花。

 ②源氏の言説も相変わらず巧み。でも長すぎたご無沙汰を反省改心し今後はちゃんと面倒をみようと思ったことは確かであろう。

 ③末摘花の返歌 年をへてまつしるしなきわが宿を花のたよりにすぎぬばかりか 代表歌
  と忍びやかにうちみじろきたまへるけはひも、袖の香も、昔よりはねびまさりたまへるにやと思さる  
   →随分と大人になっている。大したもんです。

 ④さて、その夜それからどうしたのか書かれていない。
  1.そのまま泊まり久しぶりに契った
  2.そのまま泊まったが何もなく朝早く帰った
  3.当初の予定どおり花散里邸へと向かった
  上記の内から一つを選び何故そうしたのか源氏の心内を簡潔に述べよ。
   (こういう受験問題を出してほしいですね)  
  
13.源氏、末摘花を手厚く庇護する
 〈p257 賀茂の祭や斎院の御禊などがある季節ですから、〉

 ①早速に末摘花邸に手を入れ経済的援護をする。でも時間もないし訪れはしない。

 ②離れていた女房たちも我勝ちに戻ってくる。
  →人の心の模様。当然であろう。皆勝ち馬にこそ乗りたがるのでしょう。

14.末摘花、二条の東院に移り住む
 〈p259 二年ばかり、姫君はこの古い宮邸に物思いの日々を〉

 ①二条東院に移り住む(後日談)

 ②それを知った大弐の北の方(叔母)の悔しがりよう&侍従の早まったことをしたとの反省、、、この辺省筆せずに書いて欲しかった、、、、と読者は思ったのではないか(私もです)。

 総じてこの巻、さながら月光仮面が現れてヒロイン(美人ではないが)の窮地を救う痛快なエピソードだと思いましたがいかがでしょう。

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4 Responses to 蓬生(12・13・14) 末摘花救われる

  1. 青玉 のコメント:

    末摘花、いつの間にか和歌も上手になられ、やはり成長されたのですね。

    その夜はこれまでを深く詫びられ今後のお世話を固くお約束なされて去られたのだと私は想像しております。
    紫の上、明石の君という方々をお傍に今更との思いと須磨流謫などを経て源氏も少しは精神的に成長なさったのでは?

    苦節経て二条東院へ、末摘花 めでたしめでたし!!
    そうですね。叔母と侍従のその後もちょっぴり知りたがる読者の気持ち、じらしましたね。

    必ずやヒロインを救いにヒーローが現れるとわかっていても、いつかいつかと読者はときめく・・・安堵しました。

           しのぶ草踏み分けくればゆかしけり
                くれなゐ棲めるよもぎふの宿

    • 式部 のコメント:

        青玉さん、蓬生の和歌、いいですねえ。
       蓬生の巻のポイントがしっかり押さえられていて、この和歌を読めばすべてわかる感じです。 「くれなゐ棲める」、この表現、末摘花にとっては嬉しいでしょうね。
       読者の私もほっとするような「くれなゐ」でした。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      1.「蓬生」の和歌、式部さんおっしゃることに100%賛成です。私も「くれなゐ棲める」に感服しました。末摘花のイメージが大分上がります。ホント末摘花に聞かせてあげたいです。

       「しのぶ草」もいいですね。花散里からのおねだりっぽい歌(須磨p65)に呼応して花散里を「忍ぶ姿」で訪ねようとして末摘花邸に赴いたということですもんね。この一語で世界が拡がります。

      2.その夜源氏はどうしたのかなんて愚問を発し失礼しました。おっしゃる通りだと思います。契るなんてことはない、でも何もしない訳ではない、夜を通しこれまでのことをしみじみと語り伝え、それに朴訥と応答する末摘花を見て「よし、生涯面倒をみる」と決意した、、、と解釈することにしました。

  2. 青玉 のコメント:

    式部さん、お褒めにあずかり有難うございます。
    当初、「くれなゐ棲める」の所、 「かの姫ぞかし」でした。
    今朝の散歩途中に急に思いつきました。散歩の効用ですね。
    今から春の院展を観てきま~す。

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