p20 – 30
4.末摘花、時代離れの古風な日常を過す
〈p230 たわいのない昔の歌や物語などでもお慰みになされば、〉
①末摘花の生活、想像するだに単調で退屈極まりないものであったろう。
②古風な教養を物語る叙述
唐守、は姑射の刀自、かぐや姫 & 古歌
5.叔母、末摘花に対して報復を企てる
〈p231 侍従とか言いました御乳母の娘だけが、〉
①叔母が悪役として突如登場し末摘花への哀れさを誘う。
→源氏物語の本筋には全く関係のないエピソード。でも人の心の話であり下世話で真実味を帯びている。これぞ小説と言えるのではないか。
②昔惨めな想いをした叔母が報復に末摘花をいじめにくる。
末摘花の母(姉)→常陸宮の妻
叔母(妹)→受領の妻
宮家の妻と受領の妻はそんなに違うものなんだ!
③末摘花を娘の女房(召使)にすると言っても末摘花が役にたつわけもなかろうに(苛めることが目的だから役に立たなくてもいいのか)。
6.叔母、西国へ同行を勧誘、末摘花拒む
〈p233 そうこうしているうちに、〉
①誘う叔母、拒む末摘花
あな憎。ことごとしや。心ひとつに思しあがるとも、さる藪原に年経たまふ人を、大将殿もやむごとなくしも思ひきこえたまはじ
→叔母の捨て台詞
困惑する女房たち それぞれに伝手を頼って離れていく(当然であろう)
②侍従は末摘花を見捨てて叔母について大宰府へと下る決心をする。
③末摘花は頑なに拒み源氏が来てくれることを信じて待つ(まことにいじらしい)
さりとも、あり経ても思し出づるついであらじやは、あはれに心深き契りをしたまひしに、我が身はうくて、かく、、、、、、、、かならずとぶらひ出でたまひてん
④ただ山人の赤き木の実ひとつを顔に放たぬと見えたまふ御側目などは、おぼろけの人の見たてまつりゆるすべきにもあらずかし
→何とも酷い表現で末摘花がかわいそう。源氏よ何とかしてやってくれ!
叔母の登場、姫の不幸を喜び利用しようと画策する・・・叔母と姫の関係が見えてきます。
かたくななまでに叔母の勧誘を拒む末摘花、以前には見えなかった意志の強さを感じます。
何が姫をこうさせたのか、愚直なまでにひたすら源氏を信じ待つ気持ちでしょうか?
「ただ山人の赤き木の実~あらずかし」語り手の強烈なパンチ、いやがうえにも末摘花の容貌を印象付けています。
ちょっと意地悪で、末摘花可哀想!!
ありがとうございます。
形式と建前が優先される上流社会のメインストーリーでは人情の本音はなかなか吐露されないが本巻のようなサブストーリーでは人の心があからさまに描かれています。
おっしゃる通り他人の不幸は己の幸せ。思えばこの叔母さんも非常に正直な人ですね。こういう人に限って末摘花が大宰府まで付いて来ていっしょに暮らすようになると情が移って末摘花を可愛がるようになるのかもしれません。それが人間というものじゃないでしょうか。
→ここではあくまで悪役。悪役の描写紫式部はうまいですねぇ。