蓬生(7・8) 侍従、叔母とともに去る

p30 – 40
7.末摘花の絶望 叔母来り侍従を連れ去る
 〈p237 冬になってゆくにつれて、〉

 ①末摘花の兄 禅師の君、何とも頼りない。それで僧侶と言えるのか、男なら妹のこともうちょっと考えてやったらどうか。

 ②叔母が来る。屋敷の外塀はボロボロで車を入れるにも難儀する。

 ③叔母の憎々しい言葉。
  げにしかなむ思さるべけれど、生ける身を棄てて、、、、
    以下は源氏のことを解説してくれている。源氏がどういう風になっているのかこのように世間は周知のことだったのだ。

 ④侍従への餞別として自らの黒髪を与える(それしかない)、かわいそう!
   わが御髪の落ちたりけるを取り集めて鬘にしたまへるが、九尺余ばかりにていときよらなるを、をかしげなる箱に入れて、昔の薫衣香のいとかうばしき一壺具してたまふ
 
 ⑤故ままののたまひおきしこともありしかば 
  →幼児が乳母のことを「まま」と呼ぶ。面白い、ママは英語だけじゃないんだ。

 ⑥脚注にもある通りこの段の末摘花は第六巻「末摘花」の時とは違いよくしゃべる。けっこうまともな女君として描かれている(誇張は相変わらずだが)。

8.末摘花の邸、わびしく雪に埋れる
 〈p245 十一月ごろになりますと、〉

 ①G28年11月 寒い冬 
  白山が出てくる(紫式部は越前にいたから白山は見る機会があったのだろうか)。
  ひたすら耐えて春を待つ末摘花。源氏はいつになったら来てくれるのでありましょう。

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3 Responses to 蓬生(7・8) 侍従、叔母とともに去る

  1. 青玉 のコメント:

    なんと頼りない兄禅師であることよ。
    このさびしき宿にもかならず分けたる跡あなる三つの径とたどる
    それにしても獣や家畜まで放し飼いにされている荒邸なんて想像もつかない・・・
    よほどこのお屋敷の敷地は広大なのでしょう。

    故ままののたまひおきしこともありしかば 
    私はお乳を与える人、つまり食事の幼児語(まんま)からと思っていました。

    乳母子の侍従にまでも去られるとは、末摘花危うし、源氏よ出でよ!!

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      1.末摘花の不幸は自らの無智無欲が第一ですが周りの人たちのデキが悪すぎますね。頼りない女房たち、情けない兄、性悪な叔母、これでもかって感じです。

      2.源氏物語に出てくる僧侶にはロクなのがいない。何もしない末摘花の兄、言わずもがなのことをバラす老僧、宇治十帖の阿闍梨・僧都も大したことない、、、。紫式部は僧侶を尊んでいなかったのでしょうか。

      3.荒廃した末摘花邸の描写、すごいですね。広さは一町四方(120M四方)だと思います。私は「盗人も見向きもしない、、、」という部分が大好きで紫式部のユーモアを感じます。

      4.「まま」のことはおっしゃる通りの発想からでしょうね。

      憎々しい叔母が頼みの侍従を連れ去る場面、よくできてます。ここまで来たらもうスーパーマンか健さんか源氏の君のお出まししかないでしょう!

      オマケ: 
       昨日思い立って高遠に行って来ました。5時に出て4時間運転、4時間高遠、4時間運転で5時に帰りました。さすが天下一でした。残念ながら園原までは行けませんでした。またにします。

      • 青玉 のコメント:

        お疲れさまでした。
        5持から5時まで丁度12時間の旅でしたね。
        これから南信州、園原周辺では花桃、水芭蕉他、イワカガミ、イワウチワ、カタクリなど山野草の競演が見られるそうですよ。
        又お出かけください。

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