「蓬生」道もなき蓬をわけて君ぞこし誰にもまさる身のここちする(与謝野晶子)
あのユニーク・不可解な女君、末摘花の後日談です。本筋ではないのであまり深読みせずすっと通り抜けましょう。
p12 – 20
1.源氏謫居の間、人々ひそかに嘆き悲しむ
〈寂聴訳巻三 p224 源氏の君が、須磨の浦で、〉
①源氏は足掛け3年須磨・明石にいた。前後も含めるとここ3~4年は各所の女君の面倒(物心ともに)をみられなかった。その最たるものが末摘花でした。
2.末摘花の邸ひたすら窮乏し、荒廃する
〈p225 常陸の宮のあの末摘花の姫君は、〉
①源氏からの便りは途絶えるものの待ち続ける末摘花(待つより他に能力がない)
待ち受けたまふ袂の狭きに、大空の星の光を盥の水に映したる心地して過ぐしたまひしほどに、
②お付きの女房たちも見限って少なくなっていく。
→そもそも源氏が来てなくば何とかしてたろうに、なまじ源氏が通うようになりそして来なくなった。これは不幸である。
3.末摘花、荒れなさる邸を守り生きる
〈p227 もともと荒れはてていたお邸のうちは、〉
①荒れ果てた邸の様子がこれでもかと描写される。
狐の住み処・梟の声・木霊
草蓬・浅茅・葎
そして極めつけが、
盗人などいうひたぶる心ある者も、思ひやりのさびしければにや、この宮をば不用のものに踏み過ぎて寄り来ざりければ、
→盗人にまで見放されている、、、、すごい表現です
②成金の受領階級などが家屋敷、或いは道具類などを買いたたきにくる。
→現代に通じる話であろう。
③それでも末摘花はびくともしない。
脇役ではありながら読者には強い印象を残す末摘花。
美しく高貴な姫君も印象的ではありますがやはり特徴のある容貌やユニークな人物というのはなまじきれい所の多い中ではかえって覚えやすいです。
例えば末摘花とか源典侍です。
末摘花、深窓の姫にしてはまことに辛抱強い女性ですね。その点立派です。
それにしても女房たちも現金なものです。
成り金の受領階級もまた同じ図式です。
良い時はちやほや、一旦落ちぶれると弱みに付け込む。
本当に今と変わらないな~と思います。
末摘花、つくづくと不器用な人なんだと思います。でもそんな人一杯いるしだから共感を覚える人も多いのだと思います。そういう私もご同様であります。
対極をなすのが器用な人、時流に目敏い人、勝ち馬に乗りたがる人、風見鶏。おっしゃる通り全て現金な世の中であること千年前も今も全く変りませんね。
ガンバレ末摘花、耐えろ末摘花! 源氏よ、男なら何とかしてやってくれ!