p210 – 219
7.源氏、明石の君のことを紫の上に語る
〈p181 紫の上には、これまで明石の君のことをほとんど〉)
①さて紫の上に事態をどう説明するのかしないのか。どう対処するのか。
②源氏は基本的に紫の上に隠し事はしない。明石の君と契ったときにも言わずもがなの打ち明け話を書き送っている(明石14)
③女にてあなれば、いとこそものしけれ。尋ね知らでもありぬべきことなれど、さはえ思ひ棄つまじきわざなりけり。呼びにやりて見せたてまつらむ。憎みたまふなよ
→女の子なんてつまらない、、、なんて源氏の言葉を賢明な紫の上が信ずるわけもなかろうが。
④源氏が紫の上を一番大事に愛しく思う気持ちに変りはないが、明石の君に女の子が生まれてしまった。言葉を尽して訴えても二人の心にズレが生じ始める。→大事な場面です。
8.源氏、姫君の五十日の祝いの使者を出す
〈p185 五月五日は、ちょうど姫君の生後五十日めで、〉
①五月五日、五十日の祝い(→この祝いは重要だったようだ。薫の五十日の祝いは有名)
②明石側(特に入道)の喜び。
げにかく思し出づばかりのなごりとどめたる身も、いとたけくやうやう思ひなりけり。
→明石の君も自分の幸運、宿世を段々と自覚してきている。
③一方宣旨の娘は自分の境涯を嘆く。
→この宣旨の娘を表現する詞として「思ひあがれり」が使われている。
④明石の君→源氏 この歌も切々を訴えている。
数ならぬみ島がくれに鳴く鶴を今日もいかにととふ人ぞなき
⑤明石の君との文のやりとりが紫の上の目に入る。そりゃあ、堪らないでしょう。
→この辺の源氏の心持が理解できません。こっそりやればいいのに。
それとなく明石の君のこと、ほのめかしてはあったけど姫君の誕生とあっては隠しておけない。
紫の上の衝撃いかばかりか、口には出さねども内心たるや・・・源氏からしつけられているのでしょうか、あからさまな嫉妬心を恥ずべきと思われる・・・しかしあまりの仕打ちです。
「思ふどちなびく方にはあらずともわれぞ煙にさきだちなまし」
私には紫の上のお歌が悲痛な心の叫びに聞えます。
前に清々爺さんが源氏の「最愛の女性に対する甘え」とおっしゃいましたね。
紫の上には何でも許されるという我がまま、甘え、源氏の傲慢、。
源氏よ、女も切れますよ、限界を超えると怖いんですよ。
強烈なしっぺ返しの御覚悟を!!
明石の君の幸運を喜びながらも紫の上の思いに胸が痛む今回の場面です。
ありがとうございます。
源氏はなぜ正直に明石の君とのことを紫の上に語り聞かせたのか、甘えと言うにも程がありますよね。こんなことどうせ他人の口から耳に入るのだろうから尾ひれがついて却ってややこしくなるよりは自分の口からキチンと話した方が二人のためと一人合点したのかも知れません。何れにせよこんなシチュエーションで女性を納得させることは不可能なんでしょう。
脚注にある通りここで紫の上に嫉妬心が生じ、これがさながら癌細胞のようにジワジワと心の中で大きくなっていくわけです。青玉さんおっしゃるようにこの辺りから源氏は女性読者を敵に回すようになるのですかね。
普通なら逆上して泣き叫ぶところをじっと耐える紫の上、、、私は好きなんですが、、。