須磨 代表歌・名場面 & ブログ作成者の総括

須磨のまとめです。

和歌
23.別れても影だにとまるものならば鏡を見てもなぐさめてまし
   (紫の上) 二条院での別れ

24.恋ひわびてなく音にまがふ浦波は思ふかたより風や吹くらん
   (源氏)  須磨の秋、源氏の憂愁

名場面
24.惜しからぬ命にかへて目の前の別れとしばしとどめてしがな
   (p50 残される紫の上 心細さはいかばかりだったろう)

25.須磨には、いとど心づくしの秋風に、海はすこし遠けれど
   (p70須磨の秋、源氏の郷愁・憂愁)

[「須磨」を終えてのブログ作成者の感想]

「須磨」の巻、ここは源氏の雌伏1年間が語られる巻です。正に配所の月。ヤクザ映画で健さんが大暴れする嵐の前の忍耐期間ということでしょうか。

京の女君たち・伊勢の御息所との和歌でのやりとりが須磨の歳時記的描写を背景に繰り広げられます。その極めつけが「須磨には、いと心づくしの秋風に、、、」の名文だと思います。

ところで芭蕉は奥の細道に出向く前年に(元禄元年1688年)「笈の小文」の旅で須磨を訪れています。季節はあいにく夏(卯月)ほととぎすの頃で秋ではなかった。詠まれている句は下記で源氏物語・平家物語が踏まえられています(けっこう数多いですね)。

  月はあれど留守のやう也須磨の夏
  月見ても物たらはずや須磨の夏
  海士の顔 先見らるゝやけしの花
  須磨の あまの矢先に鳴か郭公
  ほととぎす消え行く方や 嶋一ツ
  須磨寺や ふかぬ笛きく木下やみ

そして

  かたつぶり角ふりわけよ須磨明石

明石へと舞台は移ります。

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6 Responses to 須磨 代表歌・名場面 & ブログ作成者の総括

  1. 青玉 のコメント:

    源氏の須磨への流謫は過去に知る流罪とは異なり自らの退去であり読み終えてみれば結構風流優雅なものであったことを感じます。
    唐ふうの住まいにその暮らしぶりはまるで別荘に小旅行に来ているように思えました。
    とは言え都を離れ多くの愛する人との別れに源氏の心情を推し量れば大きな挫折感はあるでしょう。
    しかしあのすさまじい崇徳上皇や後鳥羽院の遠流に比べれば雲泥の差です。
    さあ明石へ出発、源氏の運命や如何に?

    芭蕉の句
       かたつぶり角ふりわけよ須磨明石  いいですね。
    やはり須磨には夏より秋が似合うと思います。

    • 清々爺 のコメント:

      須磨の巻をよくぞ適確にまとめていただきました。ありがとうございます。

      年代的には須磨はその後清盛の福原遷都で騒がしくなり源平合戦のハイライト一の谷の大戦場になる。源氏物語の雅な世界と平家物語の壮絶な舞台とがない交ぜになる所なんですね。

      久しぶりに平家物語巻九坂落の部分を読んでみました。
        「馬どもはぬしゝゝが心得ておとさうには損ずまじいぞ。くはおとせ。義経を手本にせよ」
        何とも勇ましい叙述です。今の私には須磨の秋の方がいいです。

      春休みに孫を訪ねて姫路に行くので須磨・明石に寄って来れればと思っています。(でも行くとなると想像の場所ばかりの源氏物語より平家物語の方が迫力あるのかも知れません)

  2. 青玉 のコメント:

    「坂落」義経の機敏な機動力が象徴される勇壮な場面ですね。
    ラジオの平家も今月残すところ三回の放送で一年の長丁場が終了です。
    加賀美アナの力強い読みっぷりにつられてなんとかついてきました。
    カルチャーでは昨年に名場面を終え今は平家物語の人物に焦点をおいて学習しています。
    源氏物語、平家物語を終えた暁には再度時間をかけてゆっくり原文に当たりたいと言うのが今後の私の目標です。

    姫路から須磨、明石はお隣さん、お孫さんとの再会も併せて楽しみですね。

  3. ハッチー のコメント:

    清々爺へ
    また、はじめまして 青玉さんへも

    春が来て、まだ寒さが残りますが、桜も咲き、散り、孫も休みとなりました。それで、出かける日が多かったのですが、家にいる日は、倍速で読みこなし、本朝“須磨”を読み終えました。

    読んでの印象は、清々爺も誉めているように、青玉さんの14日AM7:16のコメントと全く同じでした。(関係ないですが、青玉さんは結構早起きでいらっしゃいますね)

    しかし、須磨冒頭の段の ”世の中ーーー”からの一節は、初めて読む者には解説がないとなんのことか理解することはできないように思いました。難しいですね。

    歌では、清々爺も載せている

    別れても影だにとまるものならば鏡を見てもなぐさめてまし
       (紫の上) 二条院での別れ

    恋ひわびてなく音にまがふ浦波は思ふかたより風や吹くらん
       (源氏)  須磨の秋、源氏の憂愁

    に加え、P40~41

    見しはなくあるは悲しき世のはてを背きしかひもなくなくぞ経る

    別れにし悲しきことは尽きにしをまたぞこの世のうさはまされる

    が良かったです。

    コメントを読んいますと、平家物語や芭蕉などが引用され、皆さまの教養の深さに頭が下がる一方、小生がかくコメントなどしていていいものかとも気が引けてきます。

    でも、ひとりで読んでいくのもなかなかさみしい思いがしますので、お付き合いください。
    頑張って1カ月中には、何とか皆様に追い付きたいところです。では、明石へ移ります。

    • 清々爺 のコメント:

      コメントありがとうございます。

      ちょうど今4月初は陰暦の3月中旬、春の嵐が来て源氏が須磨から明石へ移った季節です。すごいスピードですね。結構だと思います。興に乗って進める時に一気に進むのが源氏物語にのめり込む秘訣ですから。

      須磨冒頭の一節から背景を読み取ること一回目ではできません。何回か読んで解説書も見てやっと書かれていない部分を補い整理することができるようになります。私が「道しるべ」と称してポイントを整理しようとしたのはそういう理由からです。活用いただけば嬉しいです。

      先日須磨・明石に行ってきました。すごくよかったです。追ってレポートします。

      では、明石の君との出会いをお楽しみください。

      • 青玉 のコメント:

        ハッチーさん、はじめまして、よろしくお願い致します。
        猛スピードで明石まで来られましたので今月中には足並みが揃えられそうですね。
        私も清々爺さんの道しるべの元、皆さんのコメントに励まされてなんとかついてこれた感じです。
        好きなことにはのめり込み、嫌いなことには見向きもしないと言う私です。
        基本的に5:30分には起床します。
        「早起きは三文の徳」といいますように一日が長く好きなように使えるメリットがあります。
        今は源氏に始まり源氏に終わると言う一日の流れです。
        これからもコメント欄でよろしくお願いしますね。

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