p141 – 147
13.左大臣家の不遇 源氏まめやかに訪れる
〈p253 左大臣も、おもしろくないお気持ちで、〉
①左右大臣家の確執
右大臣(弘徽殿女御)は葵の上を時の東宮(今の朱雀帝)へと思ったのに
左大臣は源氏にあげてしまった。
②桐壷帝が院政を布いていたときは右大臣側もおとなしかったが桐壷院が亡くなり、歯止めがなくなった。右大臣側の世の中となった。寂れる左大臣家。それでも忘れ形見の若君がおり源氏は左大臣家を頻繁に訪れ左大臣・大宮を慰める。
→この辺はまじめでエライ。
→軽々しき御忍び歩きも、あいなう思しなりて ちょっと自粛でしょうか
14.紫の上の幸運 朝顔の姫君斎院となる
〈p254 西の対の紫の上の御幸運を、〉
①物語に叙述はないがこれまでに紫の上のことを父兵部卿宮に告げている。
→どのように告げたのだろう。父のリアクションはどうだったのだろう。
→どうして何か正式な儀式はやらなかったのか。やってれば紫の上は正式な正妻の地位を得られたのではなかろうか。
②朝顔の姫君斎院になる。
これは大きい。朝顔はここから実に8年間も(源氏と同年令として24才から32才まで)斎院として賀茂神社に仕えることになる。
源氏も手出しできない(手紙は出してるにしても)。これで朝顔の君が源氏の後妻になる線も消えた。
→六条御息所が伊勢に下向し朝顔が斎院になる。後妻候補が二人とも消えた。
→それにしても8年とは(結果的にだが)。朝顔の君がかわいそう。
③ここで紫の上の幸運というのは、
・正妻葵の上が亡くなった
・後妻候補の六条御息所は伊勢へ下向、朝顔の君は斎院になって目は消えた
ということだろうか。
15.源氏、朧月夜と密会 藤少将の非難
〈p255 帝は院の御遺言をお守りになり、〉
①朱雀帝は優しく柔和、妥協的。母后(弘徽殿)の思うまま。
②五壇の御修法のはじめにてつつしみおはします隙をうかがひて、例の夢のやうにきこえたまふ。かの昔おぼえたる細殿の局に、中納言の君紛らはして入れたてまつる。
公式行事の仏事で宮中は慎まねばならない。そんな隙をねらって帝の寵姫を思い出深い細殿に連れ出して密会を重ねる。→気の弱い私にはとてもコメントできません。
中納言の君(いつの間に手なずけたのであろう)が万事手配する。
③「宿直奏さぶらふ」
この件誠に面白い。細殿あたりのここかしこに男が忍んできて秘め事が行われている。定刻に宿直の部下が回ってきて、チクショーめとつぶやきながら「XX参りました。異常ありません」なんて報告する。異常だらけなのにねぇ。
③朧月夜→源氏 心からかたがた袖をぬらすかなあくとをしふる声につけても
この歌はすごい。異例の女からの贈歌。朧月夜も本気だったことが分かる。
④承香殿の御兄弟の藤少将にみつかる。
→見つかるのは当たり前だろう。
→この男も藤壷に忍んでの帰りだろう。
→じっと慎んでいるのは気の弱い朱雀帝だけなのだろうか。いやはや。
院、亡き後の宮廷の変わりようがあちこちに窺われます。
左大臣家では葵の上存命中よりも源氏の訪れが多くなり落ち着かれた様子を喜ばしく感じているようですね。
掌中の珠、若君を擁しておられるとはいえ源氏の左大臣家訪問は大きな慰めだったでしょう。
そういえば紫の上と父上の対面が省略されていますね。
ここは読者が想像するしかないのでしょうか?
その後の紫の上の待遇にかかわることなのに不思議です。
それでもその幸せぶりは弘徽殿女御からは妬まれているのですね。
朝顔の姫君が思わぬところで時々登場して物語を引き締めているように感じます。
五壇の御修法のはじめにて~中納言の君紛らはして入れたてまつる。
ここでも源氏の性癖がよく現われています。
思い出の細殿でのスリルを味わうことに喜びを感じる、あやにくいです。
「宿直奏さぶらふ」
細殿の場面、映画の一場面みたいです。くっきり映像が浮かびます。
朧月夜の贈歌、積極的ですね。現代女性の感覚の持ち主です。
この逢瀬が源氏にとって不幸の発端になりはしないのだろうか?
ありがとうございます。
1.朝顔の君、ちょこちょこ登場しますが結局この君のことはさっぱり分かりません。作者ももう少し重要な役目を考えていたのかもしれませんが結局は影の薄い女性で終わってしまうのですね。
2.細殿の場面、おっしゃる通り映画を見ているように描かれていますね。こういう具体的場面があるから源氏物語がぐっと身近に感じられます。宿直の部下の役、誰がいいですかね。「さんま」で如何でしょう。