p134 – 140
10.桐壷院の崩御 そののちの藤壷と源氏
〈p247 弘徽殿の大后も、お見舞いに上がろうとお思いになりながら、〉
①桐壷院崩御 G23年11月か(四十九日が12月20日)
②譲位はしても院政を布いてた。それが変わる。
桐壷院の世 → 朱雀帝=外戚の祖父右大臣の世へ(実際には弘徽殿大后)
③藤壷、三条宮(里邸)に13年振りに戻る。
15才頃入内
23才春宮誕生(もののまぎれ)
26才桐壷帝譲位 仙洞院へ移住(宮中に11年居た)
28才桐壷院死去 三条宮へ帰る(仙洞院に2年、桐壷帝とは13年連れ添った)
多くの女御・御息所をかかえ艶福家であった桐壷院が亡くなった。文化・教養的にも優れた聖代とも言われた時代が幕を閉じ、いと急にさがなくおはして・舌疾にあはつけき右大臣主導の世の中になる。 →困ったことになるぞ、、、との予感が作者にも読者にもある。
11.源氏の邸、昔と変って寂寥をきわめる
〈p251 年も改まりましたが、諒闇中なので、〉
①年が変わってG24年
②除目(官吏、春の人事異動) 源氏の衰勢、右大臣側の隆盛
人事異動の悲喜交々は今も昔も変わらない。
内閣改造の時など短い命と分かっていても新大臣の破顔一笑が映し出される。
③宿直物の袋
先日出て来た源氏物語三大秘事の一つとされるもの。漢字で書けば当たり前だが「とのゐもののふくろをさをさみえず」 と仮名書きされていたので長らく分からなかったのであろうか。
12.朧月夜、尚侍になる 源氏と心を通わす
〈p252 あの朧月夜の御匳殿は、二月に尚侍におなりになられました。〉
①朧月夜のことが語られる。ここでは説明のみ。
G20年 花宴で源氏と契る 女御としての入内はご破算に
G22年 御くしげ殿になる (この頃から朱雀帝に召されていたのであろう)
G24年2月 尚侍になる(女性官僚の最高位、キャリアウーマン兼愛人)
弘徽殿大后が梅壺に移ったので朧月夜が弘徽殿に移り住む
→これはもう女御といっていい地位だろう。後宮もにぎわう
②朱雀帝は余程朧月夜がお気に入りだったのだろう。
人柄もいとよくおわすれば、あまた参り集まりたまふ中にもすぐれて時めきたまふ
→物語冒頭の桐壷更衣の叙述とそっくり。
③御心の中は、思ひの外なりしことどもを、忘れがたく嘆きたまふ
朱雀帝の寵愛を人一倍受けながら心中は源氏との逢瀬のことが忘れられない。
それも過去のことだけでなく現在もやり続けている。
朱雀帝・朧月夜・源氏の三角関係、よくもまあこんな風になるのだと思います。
→A氏 何という節操のない女だろう!
B女 安定した帝の愛情を受けながら源氏との恋にも身を委ねる、ちょっと素敵。
C氏 悪いのは優柔不断な帝と勝手な源氏。彼女は無邪気で可愛い女に過ぎない。
色々意見があるでしょうね。でもまだ議論は早いかも。もうちょっと進展を見ましょう。
桐壺院の崩御後、藤壺が三条の里へ下がられるといよいよ権力の趨勢は右大臣家に移りそうそうな気配ですね。
更に人事でも院御在位の時とは打って変わった源氏邸の寂寞感、身にしみます。
「宿直物の袋」がなぜ三大秘事なのかいまだにわかりません。
そんな中で、朧月夜、帝の寵愛をうけながらも源氏への思いを募らせる、まるで女性源氏ですね。
ありがとうございます。
1.源氏物語に占める桐壷帝の存在は大きいですね。研究も色々なされているし、好きな男君はというアンケートでも結構上位にランキングされるようです。何事にもバランスのとれた男らしい男なんて言う人もいます(桐壷更衣への偏愛はさておいて)。その桐壷帝がここで退場するのです、、、、が、また夢枕に出てきたりして物語から消えることはないのです。
2.朧月夜は女性源氏ですか。いいですねぇ、気に入りました。通常の恋には飽き足らず危険であればあるほど燃え上がるあやにくな性癖。朱雀帝と源氏を二股にかける、正にこの上ない危険な冒険ですね。(源氏の禁断の恋は秘め事であるがこちらはセミオープンであるところもすごいですね)
今回の投稿の『③宿直物の袋 先日出て来た源氏物語三大秘事の
一つとされるもの。漢字で書けば当たり前だが「とのゐものの
ふくろをさをさみえず」と仮名書きされていたので
長らく分からなかったのであろうか。』
この説明、よくわからないのですが?
先日? 何月何日にreferありましたっけ?
源氏物語三大秘事? 他の秘事は?
今回の“宿直物”で、何が秘事?
マイペースで読み進めておられる様子、いいですね。素晴らしいです。
源氏物語三大秘事というのは古来注釈学者の間で意味がよく分からなかった三つをいうもので、その内の一つが今回の「宿居物の袋」です。
1月30日付の「葵・28」の投稿部分とコメント欄を参照ください。他の二つの秘事も書いてあります。
それにしても何れもそんな大したことではなく三大秘事などと大袈裟だなと思います。学者とは古今東西こういう議論をしてきたのですね。
またのコメントお待ちしています。
了解です。
見落としたようです。
しかし、「源氏物語」と言うのは、古来、人口に膾炙しまくっただけに
すみずみまで 解釈が行き届いている(?)ことに 驚き、
且つ、よくまぁ、そこまで 突っ込んだなぁと 呆れる(失礼)
ほどです。
この三大秘事も どうって無いことですよね。
いやぁ~、奥が深い!
【追記】
源氏物語三大秘事とは以下の3つ (何れも言葉の意味の難しさ)
1.「揚名介」=名ばかりの介ということ (夕顔3 ①p198)
2.「三つが一つ」=三分の一 (葵28 ②p96)
3.「宿直物の袋」=宿直用の夜具などを入れる袋 (賢木11 ②p138)
おっしゃる通り源氏物語は長くて複雑なだけに解釈も難しく多くの人の手を経て段々と解明されてきた(今も続けられている)と言えるのではないでしょうか。各学派・家流は時には発見した解釈を秘伝として隠し伝えたなんてこともあるのかもね。
源氏物語の三大秘事って知ってるかい?なんて普通の人に問うてこの答えを披露しても「何やそれは、アホかいな」って馬鹿にされるでしょうね。