p189 – 198
4.源氏と葵の上の仲 紫の上、源氏を慕う
〈p77 藤壷の宮はこの頃、〉
①相変わらずの葵の上との心の擦れ違い。
葵の上にもたらされる情報は女房からのもので紫の上との経緯など全くなしに二条院に女性を連れ込んだらしいというだけ。これでは機嫌が悪くなるのも当然だろう。
②逆に紫の上への愛しさが募る。まだ身内にも秘密、父兵部卿宮にもバレていない。
5.源氏、三条宮に藤壷をとぶらふ
〈p79 藤壷の宮のお下がりになっていらっしゃる三条の宮に、〉
①源氏が藤壷(身重の義理の母)を訪ねるなんて世間からおかしいと思われないのだろうか。藤壷の方は迷惑気味でそっけない対応 →当たり前だろう。
②兵部卿宮・源氏 互いに相手を女にて見ばやと思っている。
→ この表現よく出てくる。ちょっと違和感を禁じ得ない。
③はかなの契りやと思し乱るること、かたみに尽きせず
→ こんなラブ表現が1000年前に書かれたと思うと感動します。
6.源氏、幼い紫の上をいとおしみ、相睦ぶ
〈p82 若紫の姫君の乳母の少納言は、〉
①少納言の目を通して紫の上の様子が語られる。派手な衣装でなく無地の服を着る好ましき姿。
②年明けてG19年。紫の上11才。
まだ人形遊びをしている幼い様子。
③我はさは男まうけてけり、この人々の男とてあるはみにくくこそあれ、我はかくをかしげに若き人をも持たりけるかな
→紫の上のこの心内がいじらしい。他の男はみな醜いというのはいただけないが。
④いとかう世づかぬ御添臥ならむとは思はざりけり
→そりゃあ普通の目からみればロリコンとしか思えませんものね。
源氏、左大臣邸から遠のきながらも葵の上の良さは認めているわけですね。
何といっても「人よりさきに見たてまつりそめてしかば」ですものね。
素直であって欲しいとの希望的観測でしょうか?
そこへ持って対象的な紫の上の無邪気さ、素直な所に愛しさが募るのでしょうね。
三条の宮、藤壺訪問で兄、兵部卿宮に会うわけですね。
お互い好き物どうし、同じようなことを考えてるのが面白い。
はかなの契りやと思し乱るること、かたみに尽きせず
許されぬ恋、儚く切ない恋に身も焦がれんばかりの心情が美しく描かれていますね。
源氏を慕う紫の上、父親を後追いする幼女を連想させます。
そして独り占めしたい独占欲は幼女から少女、女性へと成長し、やがて嫉妬に繋がるかもしれませんが今のところ不思議としか言えない関係ですね。
女性として扱うには忍びないほど幼いということでしょうか?
今後の紫の上の成長の過程が楽しみですね。
1.葵の上との心の擦れ違いが繰り返し語られています。でも源氏の葵の上に対する言動はいつまでたっても受身で発展がない。「二条院に新しい女性を囲ってご執心」との情報しかない葵の上が益々絶望的な気持ちになっていくのは仕方ないのではないでしょうか。
2.藤壺の里で藤壺・源氏・兵部卿宮が三つ巴となる場面。源氏が紫の上と暮らしていることを叔母(藤壺)は勿論、父(兵部卿宮)も知らない → 源氏と読者だけが知っているという状況設定が秀逸です。
3.11才になったのにままごと遊びやらあの垣間見の時の犬君が出てくるやらで幼さを強調してますね。ああ、犬君も連れて来たんだよかったなあと思いました。