p74 – 90
18.源氏。、紫の上の邸を訪れ、一夜を過ごす
〈p297 少納言からなかなか心得のある御返事が届きました。〉
①源氏が紫の上邸を訪れる。少納言の説明で状況が全て分かる。
父兵部卿に引き取られれば継母北の方やら実子たちの中でいじめられる(継子いじめ)。
→源氏は「そりゃあまずい、私が引き取らねば」と思うし読者は「源氏よ、この子を不幸にしないで」と思う。
②源氏と少納言の歌の贈答
→もうこの辺で両者は阿吽の呼吸で源氏の拉致を容認し合ったのではなかろうか。
→一夜明かした後では完全に合意してたのだろう。
③源氏と紫の上の添い寝シーン
最初は御簾ごしに手を差し入れて次には御簾の中にすべり込んで添い寝する。
→源氏の強引さ・自分なら許されるとの自惚れ・自信・思いやりの心などなどが織り交ざっている。
④手をさし入りて探りたまへれば
かい撫でつつかへりみがちにて出でたまひぬ
→この段源氏が紫の上を触る描写が多い。やはりスキンシップが大切なのだろう。
19.源氏、帰途に忍び所の門を叩かす
〈p305 外は朝霧が深く立ちこめ、空の風情もひとしお情趣深い上に、〉
ちょっと唐突に別の忍び所へのアタックの様子が出てくる。いくらなんでもアポなしのいきなりでは相手も困るでしょう。時間も明け方、毎日起きて待ってなどいられましょうか。
20.父兵部卿宮、紫の上を訪ね、あわれむ
〈p307 姫君のお邸では、ちょうどその日、〉
父もそれなりには紫の上を思いやっている。源氏の引き取りに至るプロセスとしての父兵部卿の訪問
21.源氏、惟光を遣わし、父宮の意図を知る
〈p309 源氏の君のところからは、その夕方、〉
①女房の言葉に もののはじめにこの御事よ とあり、一度来たのだから三日は通うべきだと言うのだがちょっと不審。葵の上がいて正妻にはできない、三日間通って愛人にするには幼すぎる。そんなこと世間も父宮も許さない、だから無理やり拉致してしまう他ない、、、ということだったのではなかろうか。
②少納言より明日父宮が引き取りに来るとの重要情報が寄せられ、拉致プロジェクトチームが作られ準備に勤しむ。
源氏の歌への少納言の返歌、お見事ですね。
少納言も父、兵部卿に引き取られることを危惧していたのですね、
当然でしょう、源氏に不安を訴えているように感じますもの。
添い寝の場面の源氏の心境はとても複雑に感じます。
男女の愛、父性愛、幼女趣味、兄妹愛、育ての親を亡くした傷心の者への人間愛や労わりにも、どのようにも取れるからです。
それにしても帰路、忍び所へ立ち寄ろうとする源氏、変わり身が早いというか欲求不満だったのでしょうか?
兵部卿、やはり男親ですね。母親のような細やかな愛情には欠けているように思います。。
ありがとうございます。
1.この紫の上の女房少納言なかなかいいですね。今後ずっと紫の上に仕えて主人の心の支え役になっていく重要な人物です。お傍去らずの少納言でしょうか、配役を決めるにも助演女優候補が必要でしょうね。
2.添い寝の感情、おっしゃる通りかと思います。もう一つネガティブアングルから見ると藤壷・葵の上・六条御息所といった思うにようにならない情況を癒してくれるペット感覚があったのかもしれません。
3.なるほど兵部卿宮は男親ですからね。私にすれば折角目をかけて訪れたりしてるのにそれならもっと手立てを整えろと思うのですけどね。この辺が限度なのでしょうか。女親或いは祖母の母性的盲目的愛とは違うのでしょうね。
紫の上(若紫と言った方がいいですね)との添い寝シーンを
振りかえるに、源氏は、間違いなく ロリコンですね。
一方で、桐壺、藤壷への思慕は間違いなくマザコン。
マザコンでロリコン、もし、もしですよ、この先の話の展開で
源氏がホモだったら、どうしよう?!
どうしようって? 別にどうすることもありませんよ。
確かにロリコン的なところ、マザコン的なところ、ホモ的なところはあると思います。でも光るの君は現実ばなれしたスーパーヒーローであって私たちがイメージするロリコンおやじでもマザコン少年でもありません。
若紫はこの時10才でもう大人の手前です。性的には幼かったようですが源氏の心はもう大人として扱っていたのではないでしょうか。
実母桐壷更衣に対する源氏の感情が吐露されてる場面はないのですが、母を性的対象にするほど執着してたとは思いません。藤壺に対する想いは母の身代わりというより后という犯しがたい地位にいる気高い女性へのあやにくな恋だと思うのですがいかがでしょう。
何れにせよロリコン・マザコンという言葉で表されるステレオタイプの性向を併せ持つような変態男ではなかったと思いますよ。