藤壷とのもののまぎれから離れ若紫の話にもどる。
p66 – 74
15.尼君ら帰京、源氏訪れて紫の上の声を聞く
〈p289 あの山寺の尼君は、〉
①北山で若紫を見出したのがG18年3月、半年経って晩秋9月になっている。
その間にもののまぎれが起こっている。
②尼君は病癒えて若紫を連れて帰り三条の按察大納言邸に住んでいる。
早速惟光に手配させて見舞いに行き若紫を引き取らせてほしいと意を伝える。
③最後の件、若紫が無邪気に内幕をばらしてしまうところが面白い。
→ここはおしゃまな子役が必要とされる場面である。
16.翌日、源氏尼君に消息 紫の上への執心
〈p294 明くる日も、源氏の君はたいそう細やかな行き届いたお手紙を、〉
①病が重くなる尼君。お見舞いのお礼はあの世から、、、と少納言に伝言させる。悲しい場面。
②源氏の独詠
手に摘みていつしかも見む紫のねにかよひける野辺の若草
この巻の代表歌です。
17.尼君死去 源氏、紫の上をいたわり弔う
〈p296 十月には、朱雀院に行幸がある予定でした。〉
①尼君死去 G18年9月20日ころ。 40才余、、、非常に若い。
かくて紫の上は幼くして母を、10才にして祖母を亡くしたことになる。
3才で母を6才で祖母を亡くした源氏の境遇に似ている。
(読者は源氏よ可哀相な紫の上を救ってやって欲しいとの気持ちになる)
何となく季節感は理解できていたのですがはっきりした月日はつかめていませんでした。
今回の説明であ~なるほどと思いました。有難うございます。
そういう細かいところまでなかなか読めていませんでした。
若紫、冒頭の北山への静養が三月、そして16、17の段では「秋の夕べ」や「十月に朱雀院に行幸あるべし」とか「たちぬる月の二十日」等から半年と言うことになるのですね。
そうですか、若紫との出会いから半年ですか。
月日の経過を理解するのは大事なことだと気づかされました。
「もののまぎれ」も原文では見当たらないので勝手に不義密通と解釈しましたがよろしいのでしょうか?
藤壺とのことがありながら紫の上のことも気がかりな源氏。
尼君は幼い紫の上を案じながらもそれとなく源氏に思いを託したかったのでしょうか?
思い出しました。
源氏6歳の時、祖母北の方との別れに「このたびは思し知りて恋ひ泣きたまふ」とありましたね。
哀れ紫の上・・・
源氏の歌、良いですね。ちょっといただきたい・・・
色々な観点からコメントつけていただき感謝です。
1.月日の経過については紫式部はすごく気をつかって書いていると思います。私も神経質なので時間と場所が分からないと落ち着きません。それで調べるのですが、本テキストの脚注でほぼ完璧に分かります。分からない部分があればそれは古来調べても分からない所なのだと思います。
2.「もののまぎれ」 その通り源氏物語での不義密通特に藤壷とのコトをさして言われる言葉です。本居宣長の「もののあはれ」に対応してるのでしょうか。謂わば源氏物語解読のテクニカルタームなので「こんなの知っとくとかっこいいですよ」ってことで使ってるものです。
3.15.②おっしゃる通り尼君の気持ちははっきりと「私が死んだらこの娘をよろしくお願いします」ということなんだと思います。ものの道理をよく弁えた賢いお祖母さまですね。
4.コメントで端折りましたが、15.③の若紫の無邪気な言葉、この場面は丸谷才一・大野晋が小説的だと絶賛しています。例の北山での紫の上登場場面が教科書によく採られているが、そんなのよりこちらの方がずっといいというのです。
「上こそ、この寺にありし源氏の君こそおはしたなれ。など見たまはぬ」
「いさ、見しかば心地のあしさ慰みき、とのたまひしかばぞかし」
紫の上の名言集です。
わたしも清々爺コメントの冒頭の「もののまぎれ」に引っかかりました。
広辞苑を引くと : ①物事がごたごたすること、どさくさまぎれ ②男女間の
間違い、密会、とあり、例文は源氏物語の「賢木」「若菜」にある文章が載っていました。
いずれにしても 「もののまぎれ」と言う言葉は、この【若紫(15,16,17)】には
出て来ないのですね。→ 紛らわしいゾ~!!
というのも、みなさまの”ツッコミPOWER”が伝染して
少なくとも清々爺のコメントは端から端まで分からないとシャットダウン出来なく
なってしまい往生しています。
往生するのはまだ早いですゾ!
私のコメントをつぶさに見ていただいていること嬉しい限りです。私のコメントは有名場面をリストアップするのは当然ですが、解説書には書かれてないけど自分として面白かったことや気になってることを書くようにしてますので、或いは見当違いのこともあるかと思います。どうぞ遠慮なくツッコんでください。
「もののまぎれ」は青玉さんへの返信に書きましたように源氏物語解読に使われるテクニカルタームです。「紫のゆかり」みたいなものです。古来源氏物語の読み解きには色々キーワードが使われてきましたが「もののまぎれ」もその一つです。なかなか洒落たワーディングだと思い気に入っています。
→ Wikipedia で「もののまぎれ」をチェックしてください。