【朧月夜】
①朧月夜=評価:良 好き嫌い度:好き
→丁度空蝉とは逆のイメージでしょうか。お酒に酔って登場するのはこの人だけでしょう。
朧月夜 歌9首 代表
うき身世にやがて消えなば尋ねても草の原をば問はじとや思ふ(花宴)
→契った直後の艶めかしい返歌
→藤原俊成は「花宴」を絶賛し「源氏見ざる歌よみは遺恨のことなり」と述べている。
②「花宴」私はこの短い巻が大好きです。華やかで艶めかしい。
宮中南殿での桜の宴の後、藤壷を求めてそぞろ歩く源氏にほろ酔い機嫌の女性が近づく。
照りもせず曇りもはてぬ春の夜の朧月夜にしくものぞなき(大江千里)
→女性が口遊んだ歌から名付けられた「朧月夜」、、、いい名前です。
→細殿(渡り廊下)での契りの場面、、「すげぇなあ」としか言いようがありません。
③朧月夜は右大臣の六の君・弘徽殿女御の妹。朱雀帝への入内が決まっていた。そんな女性を源氏がモノにした。
→藤壷との密通ほどではないですがこの狼藉ぶりも相当なものである。
④源氏と朧月夜はその後も密会を続け遂に右大臣邸で右大臣に見つかる。(賢木)
→この場面、面白かった。源氏のふてぶてしさと右大臣の気の弱さを感じました。
⑤朧月夜をめぐる朱雀帝と源氏の三角関係も何とも奇妙、異常。
→朱雀帝は朧月夜が余程好きだったのでしょう。それだけ朧月夜が「いいオンナ」だったのだろうと推測されます。
⑥賢木での密会発覚の15年後、源氏が朱雀院出家で里下がりした朧月夜を二条宮に訪ねて行く場面も凄かった。迫る源氏、拒みながらついには受け入れてしまう朧月夜。(若菜上)
→これは女性作家紫式部ならではの情念場面ではないでしょうか。
⑦朧月夜は源氏を煩わしく思い出家。驚く源氏、未練たらたらの源氏。先ずは自分のことを祈ってくれと頼む源氏に対し出家した朧月夜はサバサバした感じで「他の人といっしょにアナタのことも祈ってあげるわ」と言い放つ。(若菜下)
→寂聴さん絶賛の場面。私は源氏がいささか可哀そうに思いました。
⑧朧月夜、色っぽい女ランキングではやはり第一位でしょうか。
「心弱い女」「奔放な女」「自分に忠実に生きた女」、、、色々に言われています。
→寂聴さんの言われる六条御息所ほどではないですが、「もし源氏物語に朧月夜が出て来なかったら物語はずっと華やかさの欠ける地味なものになっていたのでは、、」と思っています。
先ず「花宴」「朧月夜」共に名前に惚れました.
朧月夜(並 好き)
色気、大胆さ、女の弱さ強さを併せ持った奔放な生き方。
拒みながらも流される弱さ、、出家後の毅然とした態度に強さを感じます。
この時代にしては珍しく現代女性にも通じる所が際立っています。
良くも悪くも女を象徴しているように思います。
からっとした明るい華やかさが良いですね。
右大臣邸での密会の場面にはハラハラさせられました。
源氏の方が開き直って堂々、右大臣の方が小さくなっているようで可笑しみがありました。
所どころに登場して忘れ難いいい女です。
ありがとうございます。
現代女性にも通じるところが際立ってますか、なるほど。好きも嫌いもなく一方的な男女関係を強いられるのが普通の社会では珍しかった女性でしょうね。ある意味スンナリ朱雀院の後宮に入るより源氏とのアバンチュールがあった方が朧月夜にとってはよかった。というか朧月夜自身それを願っていたのかもしれません。あの朧月夜の夜、「照りもせず、、、、」とほろ酔い機嫌でそぞろ歩いたのは源氏に自らを襲わせる仕掛けだった、、、。なんてのはどうでしょう。
朧月夜、好きですねえ。ぐずぐず思い悩まないで生きているのが気持ち良いです。
源氏のことは最初から好きだったのでしょうし、朱雀帝(院)のことは、じわじわと好きになっていったのでしょうね。
右大臣の娘という恵まれた身分、おおらかな華やかな人柄、容貌で申し分なしです。
出家も自分自身で決め、潔い身の処し方だと感じます。
この人も私から見て「いい女」です。
ありがとうございます。朧月夜、式部さんには相性ピッタリ、丸で分身のように思われてるみたいですね。
朱雀帝のことはじわじわと好きになっていった、、、なるほどね。源氏とのことがあって朱雀帝とは最初はうまく行かなかったのかもしれません。でも優しい朱雀帝が大事に丁寧に叔母にあたる朧月夜に愛情を注いだのでしょうね。源氏のことがばれ源氏が須磨へ流されるところではまだ源氏への愛の方が勝ってるようですが朱雀帝の愛情にほだされてその後は朱雀帝と仲睦まじく過ごしたような感じです。朧月夜と朱雀帝、いい夫婦だったのだと思います。
小生の朧月夜に対する評価は「優」、好き嫌い度は「大好き」です。彼女は藤壺、紫の上と並び、源氏物語に登場する最高の女性の一人でしょう。
朧月夜は身分、人柄、容貌が申し分ないことに加えて、聡明な女性であったと思います。宮中の衣服調達部門の女官長である御匣殿や内侍司の女長官である尚侍といった役目を立派に果たしたことはその証左と言えるでしょう。
さらに彼女は自分の考えをしっかりと持ち、それが実現するように行動するという強い女性でもあったと思います。このため、男性との関係では奔放に振る舞い、出家もさっさと実行できたのでしょう。この辺は紫の上と対照的ですね。
要するに、朧月夜は華やかな魅力に溢れ、聡明で有能、さらに行動力も備えた素晴らしいキャリアウーマンというのが小生の抱くイメージです。
ありがとうございます。朧月夜、大好きですか。いいですねぇ。
青玉さん、式部さんからは「いい女」だと褒められ青黄の宮さんからは「最高の女性の一人」だと崇められる。つくづく朧月夜という女性は「幸せな女性」だなと思います。
女官としての役目を立派に果たした素晴らしいキャリアウーマン、、、そうですか。そんなことどこに書いてあったっけ、と考えようとしましたが止めました。それこそ想像の翼でしょうね。源氏物語の楽しい読み方を教わった気がします。
(女官と言えば明治天皇の典侍だった柳原愛子(白蓮の叔母)が生んだのが大正天皇、、、と言うことでつい最近までそんな風だったのだなあと改めて思いました)