p94-98
13.薫、女一の宮を慕い中宮のもとにまいる
〈p197 その日は一日中女宮のお側でお過しになり、〉
①舞台は三条宮から転じて内裏、明石の中宮の所。
→女二の宮には飽き足らない薫、中宮への伺候を口実に女一の宮に近づきたいとの気持ちであろうか。
②女の御身なりのめでたかりしにも劣らず、白くきよらにて、なほありしよりは面痩せたまへる、いと見るかひあり。
→匂宮の様子。姉に劣らぬ美しさ。
→女一の宮&匂宮、帝直系皇族の素晴らしさがこれでもかと描写されている。
③まづ恋しきを、いとあるまじきこととしづむるぞ、ただなりしよりは苦しき。
→女一の宮をなまじ見てしまったが故の心の炎上。
→あの時の柏木に似てますなあ。
④薫は女二の宮のことを中宮に訴える。
薫「この里にものしたまふ皇女の、雲の上離れて思ひ屈したまへるこそ、いとほしう見たまふれ。、、」
→宮中の女一の宮と薫に嫁ぎ三条宮にいる女二の宮、今や雲の上と下。
⑤薫と中宮の会話。女二の宮に冷たいじゃないですかと訴える薫に中宮はそんなことありませんよと否定する。
→薫と中宮、女一の宮、女二の宮の血縁関係をつかんでおくことが大事
→薫と中宮は姉弟、従って女一の宮は薫の姪。この三人は血が繋がっている(表向き)
→女二の宮は中宮にとってはライバルだった麗景殿女御の娘。継母子関係である。
→薫が女二の宮のことを卑下して中宮に語るのは中宮にとっても心地よかろう。
⑥、、、、、」と啓したまふを、すきばみたる気色あるかとは、思しかけざりけり。
→そりゃあそうでしょう。柏木が源氏に嫁いだ女三の宮に想いをかけるのとは相手が全く違います。
⑦立ち出でて、一夜の心さしの人に逢はん、ありし渡殿も慰めに見むかしと思して、御前を歩み渡りて、西ざまにおはするを、、
→小宰相の君に逢おうとは自分自身への口実でひょっとするとまた女一の宮を垣間見るチャンスがあるかも、、、と思ったのだろうか。
⑧渡殿の方は、左の大殿の君たちなどゐて、
→改めて言うことでもないが夕霧の官職が右大臣か左大臣か混乱している。なぜこんなに混乱しているのか源氏物語七不思議の一つではなかろうか。作者は混乱などしてる筈なくその後の伝わり方の問題と思うのだが。
本段、薫が女一の宮にあらぬ思いをかける。こういう異常をはっきり書くところが紫式部のすごい所であります。
あらためて薫の複雑で屈折した性格を知る思いです。
女二の宮の思いを勝手に捏造するなど卑屈で姑息なやり方のように感じます。
大体男がこのような感情にとらわれること事態理解しがたいです。
薫って女っぽいところがあるのかしら?
中宮はまさか薫に下心があるなど思いもよらなかったでしょう。
普通には考えられないことですが語り手は敏感ですね。
薫という人物の性質描写が読者にも読みとれる場面でした。
夕霧の官職
本文には左の大殿、現代訳には右大臣、付録の左の大殿。
そして脚注に「右の大殿」とする本は少ないがそのほうが穏当であろう。
私も左?右?「あれっ」と混乱してきました。
学者さんの見解も様々なようですが事実は?
ありがとうございます。
1.薫は「女二の宮の思いを勝手に捏造している」、ですか。成程その通りですねぇ。女二の宮が薫の妻としてどんな想いで過していたのか書かれていないのでよく分かりませんが、それなりに従順に薫に寄り添っていたのではないでしょうか。コスチュームを着せられたり氷を触らせられたりしても文句言ってませんものね。誇り高い皇女であるだけの高慢ちきな女性ではないように思うのですが。
そんな女二の宮に飽き足らない、、、。難しいものですね。
源氏が葵の上に飽き足らなかった&夕霧が雲居雁に飽き足らなかったのと薫が女二の宮に飽き足らなかった&柏木が女二の宮に飽き足らなかったのとは大いに違うように思います。
2.夕霧の左大臣・右大臣、混乱してますね。私は「左大臣」でいいと思っています。だって夕霧は源氏物語冒頭に出てくるあの左大臣の孫ですからねぇ。右大臣と言うとあの弘徽殿女御の父で早口のおっちょこちょいタイプ。夕霧は断然左大臣でしょう。
→葵の上が亡くなり滂沱の涙を流した左大臣。葵の上の忘れ形見夕霧が左大臣となり栄華を極めているのを見て大宮、葵の上ともども天国で喜びあっているのではないでしょうか。