早蕨 代表歌・名場面 & ブログ作成者の総括

早蕨のまとめです。

和歌

95.この春はたれにか見せむなき人のかたみにつめる峰の早蕨
     (中の君)  父に次いで姉まで、お気の毒に

96.袖ふれし梅はかはらぬにほひにて根ごめうつろふ宿やことなる
     (薫)    中の君は匂宮に娶られていく、、、、

名場面

98.御車のもとに、みづから寄らせたまひて下ろしたてまつりたまふ。

     (p42  中の君、二条院へ到着)

[早蕨を終えてのブログ作成者の感想]

早蕨、短い帖でした。大君が亡くなり悲嘆にくれた年も改まり、舞台が宇治から京に移動する。その経緯を記した謂わば繋ぎの帖と言うことでしょうか。文字通り玉の輿に乗って当代人気ナンバーワンの貴公子匂宮に迎えられて京に入る中の君。世にも羨むお輿入れだが中の君は不安で一杯。そりゃそうでしょう。ついていく肉親は誰もおらず頼りになる女房もいない。後見人は薫だがどうもスケベ心が見え隠れしてて100%心を許すことはできない。

(田舎から京へ迎えられた例としては源氏の要請で明石の君が大堰に移ったケースがあるがこの時は母(明石の尼君)&娘(明石の姫君)が一緒で頼りになる乳母(宣旨の君)もいた。それでも明石の君は京へ上っても源氏に見棄てられるのではないかと心配していた)

京へ迎え入れられたといっても夫匂宮は忙しい身だしそうそう自由がきかない。権力者夕霧の六の君との縁談話も進んでおりそうなると否応なく第二夫人になってしまう。それとややこしい薫の存在。ちょっと考えただけで中の君が匂宮と幸せな結婚生活に入るには支障が多すぎる感じがします。

中の君の京での日々、どうなって行くのでしょうか。宿木をお楽しみに(総角に匹敵する長さですが総角よりは変化があるので面白いと思います)

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8 Responses to 早蕨 代表歌・名場面 & ブログ作成者の総括

  1. 青玉 のコメント:

    中の君は玉の輿と言っても微妙な立場ですね。
    心置きなく宇治を去ったと言うでもなく不安いっぱいで前途多難さをうかがわせる帖でした。
    5月いっぱい宿木ですか、変化に富んでいるといいですね。
    今月はなんだか少し疲れました。
    気分転換を図りましょう。

    {Smile 浅田真央23年の軌跡展}
    皆さん、ご覧になりました?(東京先行展示)
    先日真央ちゃんの歩みを振り返る展示をみてきました。
    最終日とあったせいか老いも若きも「愛・地球博」のマンモスの時くらいの行列に並びました。
    幼少時代のバレエから現在に至るまでの写真パネル、大会での衣装やスケート靴などを間近で見る事ができました。
    とりわけ今回は等身大のマネキンに着せられた大会での衣装30点ほどを生で見られたのは感激でした。
    演技は勿論のこといつも映像での衣装の素晴らしさに見とれていました。
    今回目の前で見た衣装はテレビで見るのとは違った感覚で色はより鮮やか、その生地の風合い、質感が伝わってくるデザインに目の保養をさせてもらいました。
    エキシビション(ソチ)の黄土色にみえたあの衣装は映像ではあまり目立たない地味な衣裳でしたが実物はゴールドカラーで生地自体にラメが織り込んであり胸元のドレープがとてもエレガントなものでした。
    やはり映像と本物は違ってみえるしテレビ映りの良い衣装というのもありますね。
    個性的で曲のイメージをアピールするデザインが目立つ中、紫を基調とした衣装が真央ちゃんには特によく似合うと思いました。
    とにかくその愛らしさは世界中のファンを熱狂させるのも無理ないことです。
    真央ちゃんへの熱いメッセージが壁面を埋め尽くしていました。
    数多くのメダルの展示ではバンクーバーでの銀メダルがとりわけ大きく輝いていてその他の大会でのメダルは思ったよりも小さいのに驚きました。
    ソチでのフリーの映像を目にしてまた涙があふれ出ました。
    ここにソチでの金メダルが輝いていたらどんなに良かったことかとつい一瞬だけ頭をよぎり会場を後にしました。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      1.テキストのページ数からすると54帖中一番長いのは若菜上&下で共に201ページです。その次が宿木で187ページ次いで総角が181ページです。今月は総角+早蕨でしたから合計で220ページ、月毎のページ数では最大でした。それにあの内容ですからねぇ。疲れるのも無理ないところでしょう。

      宿木も長いですし物語がダイナミックに進展するという程でもありません。でも大爆発の予感を感じさせる帖です。気分転換しながら気楽に読み進めてください。

      2.真央ちゃんの展示、さすが地元の名古屋、凄かったようですね。レポートありがとうございます。いいもの見て気分転換になったでしょう。東京での展示、余り興味がなかったせいか知りませんでした(高島屋なら青黄の宮さんは見たのかも)。

       夜中にTVにかじりついたソチの興奮と落胆が甦りました。ショートで失敗しフリーで完璧だった真央ちゃん。ショートで完璧、フリーでこけた羽生くん。結果は無冠と金。一発勝負の無情さを改めて思いました。

    • 青黄の宮 のコメント:

      月末はいつも俳句作りに苦しめられてブログを読む暇もないため、一日遅れの返信となりますが、小生も真央ちゃんの軌跡展を見ましたよ。彼女の成長の跡を幼少の頃から順を追って辿ることができ、充実して見応えのある展示会でした。紫の上がそうであったように、真央ちゃんのような魅力的な女性はやはり子供の頃から可愛いいですね。

      真央ちゃんの軌跡展は高島屋のA常務の熱意と人脈で実現したという裏話があります。
      今や国民的英雄で大人気者である真央ちゃんの展示会を思いついたA常務は最初電通に企画と真央ちゃんの事務所との交渉を依頼しようとしたところ、電通は実現できる自信がないということで断ってきたそうです。それでも諦めきれないA常務は真央ちゃん事務所に強い友人を通じて打診したところ、真央ちゃん事務所から「入場無料で開催してくれるなら協力できる」との返事があり、(破格の低コストで)開催に漕ぎ着けることができたとのことでした。

      次に、青玉さんが特によく似合うとおっしゃっている紫を基調とした衣装ですが、(愚妻がテレビで見たところによれば)美輪明宏さんは「紫は上品だがおとなしいので勝負服に相応しくない。オリンピックで勝つためには黄色とか橙といったか発展的&攻撃的な色でなければダメだ」と述べていたようですね。にも拘らず、ソチのショートプログラムにおける真央ちゃんの衣装は紫、そして、何とキムヨナの衣装は黄色でした。

      以上、早蕨と全く関係のないコメントで失礼しました。

      • 清々爺 のコメント:

        さすが高島屋、真央ちゃんに目をつけるところ大したもんです。紫が勝負服に相応しくないとは聞き捨てなりませんねぇ。羽生くんもブルー系でごくおとなしい色だったと思うのですが、、、。

  2. ハッチー のコメント:

    早蕨、スーット面白く読めた帖でした。
    総角での大君に対する薫の行動に随分とイライラさせられましたが、ここでの中の君に対する薫の態度も、じゃ今まではどうだったの、匂宮と大君に遠慮していただけなのかと、すっきりせず、こういう物語上の人物設定だとは思うのですが、煮え切らない男だなと、改め感心しました。
    おそらく、薫はどこかの時点で、打って変わって、狂ったような行動に出てしまう、今はその伏線のようにも思えますので、こらから後の話を楽しみに読んで行きたいと思います。

    歌では、爺も挙げ、代表歌にもなっている

    この春はたれにか見せむなき人のかたみにつめる峰の早蕨

    がよかったです。

    通い始めた武蔵野大学の万葉集の講座で、古代より蕨は生命力の象徴だと聞きましたが、冬から春を迎え息吹く生命の象徴ということで、そうなのですかね。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。もうすっかり古典が生活の一部になったようですね。

      1.薫はいつどのように化けるのか、期待が膨らみますね。それにしても優柔不断で煮え切らない男ですねぇ。自分に重ね合わせていやになります。
       →私も優柔不断な男ですが薫と違って諦めは早いので何事にも未練は余りない方です。

      2.万葉集、始まってるのですね。今度聞かせてください。蕨が生命力の象徴とは例の志貴皇子の歌からなんでしょうね。土の中からぐんぐん頭を持ち上げて行くあの姿は生命力そのものですもんね。
        →ムクムクっとした感じですもんね。

  3. 進乃君 のコメント:

    この帖は、かいつまめば、”大君が亡くなり一人残された中の君が
    匂宮に引き取られ京へ移った”、だけの話ですが、
    保護者が居なくなった女性(中の君)の心細さだけを
    ひしひしと感じさせる、妙に”寒い”帖でした。
    しかし薫ってのは なんと 爺臭い男か!『「 しなてるや
    鳰の湖に漕ぐ舟の  まほならねどもあひ見しものを
    」と
    歌うぐらいなら なんで手を出さへんかったやんや!」と
    言いたくなります。
    どうも登場人物に(男も女も)感情移入出来ないので困っています。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。順調に後を追って来ていただいているようで何よりです。

      早蕨を総括すると貴コメントのようになると思います。独り京へ行く中の君、心細かったことでしょうね。結局は保護者(後見者、男)の言うなりに生きていくしかない女性の哀れさですねぇ。

      まだしばらく感情移入が難しい局面が続くかもしれません。そうです、おっしゃる通り薫の人生コンサルタントになって「キミ~ィ、そこは我慢して!ヨシッ、そこで行かなきゃ!」なんて叫びながら読むのがいいと思いますよ。

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