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20.紫の上、はじめて女三の宮に対面する
〈p87 桐壷にいらっしゃる明石の女御は、〉
① 明石の姫君はG39年4月に入内、1年余経っている。明石の姫君12才。
懐妊して六条院春の町に里帰りする。春の町は誠にややこしいことになる。
東の対:源氏&紫の上
寝殿の西側:女三の宮
寝殿の東側:明石の姫君 両者の間には中仕切りの戸があるだけ
②女三の宮は14才 源氏の妻
明石の姫君は12才 春宮の女御で妊娠中 源氏の娘
→ちょっと考えただけでもこりゃあヤバイと感じます。
③紫の上、明石の女御に会うついでに女三の宮と対面
→紫の上の心遣い。自分の方から会いにいく。女三の宮を正妻と認めることになる。
→秀吉と家康、会いに行くのか来させるのかが大問題なんて場面もあった。
④女三の宮 「恥づかしうこそはあらめ。何ごとをか聞こえむ」
→典型的な皇女の言葉。自分の言葉を持っていない。
⑤紫の上 我より上の人やはあるべき
→自負はあるものの現実には女三の宮を立てねばならない。つらかったことだろう。
→明石の君も紫の上に同じ気持ちを抱いたのかも。
⑥源氏は紫の上の美しさを見て改めて礼讃する。
めでたき盛りに見えたまふ。去年より今年はまさり、昨日より今日はめづらしく、
→紫の上32才。匂うような大人の美しさだったのだろう。
⑦紫の上 身にちかく秋や来ぬらん見るままに青葉の山もうつろひにけり 代表歌
→源氏に対し悩む心の内を懸命に訴えている。分かってあげなくっちゃ。
⑧今宵は、いづ方にも御暇ありぬべければ、かの忍び所に、いとわりなくて出でたまひにけり。いとあるまじきことと、いみじく思し返すにもかなはざりけり。
→あの再会が火をつけた。朧月夜がいくらよかったとしてもあってはならないこと。
→女三の宮という爆弾を抱え悩める初老の源氏。心の安らぎを求めるにはこれしかなかったのか。
⑨紫の上、女三の宮に対面。
→紫の上32才、女三の宮14才。親子の年令差。
→女三の宮には紫の上への対抗心などあろう筈もなくただ優しいオバサンと映ったのではないか。
⑩紫の上・女三の宮二人の関係に世間は好奇心いっぱい。
→紫の上は動じない。でも心の内で辛抱は膨らむばかり。
明石の姫君が懐妊の為里帰り、12歳とは幼い妊娠ですね。
六条院の女君達の住まいの構成、まことに複雑怪奇です。
緊張が走ります。こんな事ってあり得るのでしょうか?
女三の宮との対面、あくまでも聡明、冷静な紫の上。
ここでは明石の君との対面よりもずっと気の張らない様子がみえます。
逆に心の屈辱を奥底に秘め宮を気遣う優しさ、明石の女御と比較する余裕もあります。
「明日は我が身」という言葉がありますが紫の上と明石の君の対面が思い起こされます。
紫の上への寵愛が更に深まるにも関わらず何故
「かの忍び所に、いとわりなくて出でたまひにけり。」なのでしょう。
余りにも紫の上を馬鹿にしていません。許しがたい行為です
ありがとうございます。
源氏が紫の上をこの世で一番大事にし愛していたのは嘘偽りのないところだと思います。それは藤壷がいたときでも変らなかったと思います。ましてや全てに幼い女三の宮では相手にならなかったでしょう。逆に紫の上も源氏が自分を一番大事にしてくれているという自覚はあり、女三の宮のことは「天から降ってきたもの」で仕方がないと懸命に堪えていた。そんな中またまた朧月夜の所へ出かけて行く源氏。
「源氏は、朧月夜に忍ぶ背徳について百も承知しながら、愛欲を抑制できない」(脚注)
→通常の人間には理解しがたいところです。紫の上には甘えきってきた源氏ですがさすがにそれはないでしょう!