p94 – 102
3.源氏、蛍火により宮に玉鬘の姿を見せる
〈p13 源氏の君はどうだっていいのに、〉
①源氏演出の妖艶蛍ショー
②そらだきもの心にくきほどに匂はして、
内よりほのめく追風も、いとどしき御匂ひのたち添ひたれば、いと深く薫り満ちて、
→暗い中になまめかしい(官能的な)香りが立ちこめている。源氏の演出。
③御几帳の帷子を一重うちかけたまふにあはせて、さと光るもの、紙燭さし出でたるかとあきれたり。 名場面
→源氏物語屈指の有名場面(この場面紫式部も力を入れて書いたことだろう)
→暗闇に蛍の光で女性をチラっと見る。これぞ「ちょっとだけよ」の究極ではなかろうか。
→寂聴さんは実験しようとしたが蛍が集まらず断念した。ただ虫籠に20匹ほど入れただけでも闇の中では人の顔が見れるほどだったとのこと。
④蛍ショーを見た兵部卿宮も驚いたろうが玉鬘はどう思ったのか。
→書かれてないが、「何、バカなことやっちゃって、、」と源氏に対し白けたのかも。
⑤歌の贈答
兵部卿宮 なく声もきこえぬ虫の思ひだに人の消つにはきゆるものかは
玉鬘 声はせで身をのみこがす蛍こそいふよりまさる思ひなるらめ代表歌
→身をこがす蛍というと情熱歌人和泉式部の歌を思い出します。
もの思へば沢のほたるもわが身よりあくがれ出づる魂かとぞみる
⑥自分が見たいため有らゆる手段を講ずるのは分かるが人に見せるためにこのような手の込んだ演出をする。さすが光源氏ならではのことだと思います。
4.源氏、玉鬘への愛執に苦しみつつも自制
〈p19 玉鬘の姫君は、こうして表面はさすがに〉
①玉鬘 実の親に認知され源氏の妻になるならいいがこれでは何とも人聞きが悪い
→至極もっともな感覚ではなかろうか。
②秋好中宮への恋と玉鬘への恋、両方とも養女として扱っている女性。
→さすがに中宮への未練は去ったのであろうか。
→玉鬘への想いで精一杯なのだろう。
こういった場合は一体どんな香りが似合うでしょう。
セクシーで情熱的な昔の「香」はどういう薫きものなのでしょう、興味あります。
源氏52香でいえばのどの組み合わせでしょうね。
そこへ持って「蛍」これは今風に言えば究極のサプライズ、よくも思いついたものです。
子どもの頃、蛍を数匹捕らえて夜蚊帳の中へ放った記憶はありますが恋の演出に使うとはね~
寂聴さんは実際に試そうとされましたか、相変わらず可愛い所のある人ですね。
このような演出?をしてからかい半分に人の反応を試して陰で喜んでいる輩っていますよね。
このような風流とは全く異質ですが昔の全く無邪気なガキ大将、頭脳の優れた悪賢い複雑な心理の人間がそうでした。
源氏36歳、この場合は幼稚なのか雅びなのかちょっと解りにくいです。
脚注に人の心をもてあそぶ高度の遊戯とありましたが・・・
でも私的にはこの趣向に季節感と相まって幻想的な美しさを感じました。
世の人めきたるさまにて、かやうなる御心ばへならましかば、などかはいと似げなくもあらまし玉鬘、内心は筋さえ通せば心憎からずと思っているのでしょうか?
少し心の内なる変化を感じますが・・・
ありがとうございます。
1.そうですね、この場面薫香が大きな役目をしていますよね。後の宇治十帖では薫香がいっぱい出てきますが第一部第二部ではさほどなかったように思います。ここは源氏の演出を際立たせる目的で詳しく描かれているのでしょうか。
2.「人の心をもてあそぶ高度の遊戯」、、、、ちょっと違和感ありですねぇ。単純な悪戯、ドッキリ程度じゃないでしょうか。何れにせよおっしゃる通り季節感あふれる幻想場面で「すごいなぁ、おもしろいなぁ」と思います。忘れられない場面です。
3.玉鬘の源氏への心境、少しづつ変ってきていると思います。というか色々と事情が分かり大人になってきたということでしょうか。