「蛍」身にしみて物を思へと夏の夜の蛍ほのかに青引きてとぶ(与謝野晶子)
胡蝶の巻から一ヶ月後のG36年5月 五月雨・ホトトギス・あやめの季節に入っている。
p90 -94
1.源氏の懸想ゆえに、玉鬘大いに困惑する
〈寂聴訳巻五 p10 今はこうして太政大臣という重々しい地位になられた、〉
①玉鬘 22才になっている。年令的には大人であるが九州の田舎で世間から隔離されて育って世の中のこと分かっていないし、まして男女の恋愛になるとまるでウブである。
→誰か相談相手になってやらないと可哀そう(後で母夕顔の従姉妹宰相の君が出てくるが)。
②源氏の方も恋情を訴えたものの思うにまかせず悶々としている。
→いつもながら自らが招いた自業自得
→こういうのって「恋愛依存症」って呼ばないのかしら
③そんな源氏を玉鬘は無下に冷たく対応はしない。
人ざまのわららかにけ近くものしたまへば、いたくまめだち、心したまへど、なほをかしく愛敬づきたるけはひのみ見えたまへり
→こういう状況で愛敬がある(にこやかでかわいらしい)。持って生まれた天性なんでしょう。素晴らしい!
2.蛍宮焦燥 源氏、女房に返事を書かせる
〈p12 兵部卿の宮などは、〉
①兵部卿宮よりの恋文 源氏が読んで返歌を作り宰相の君(玉鬘の女房・夕顔の従姉妹)に書かせる。
→正に源氏の一人二役、お忙しいことで、、、。
→この歌の贈答は省略されている。どうしてだろう。紫式部がサボったのかなあ。
②父(養父)なのに父らしくない源氏の振舞いに煩わしくなって玉鬘は「それなら兵部卿宮の方がいいかな」と思う時もある。
→玉鬘は日々成長していったのではなかろうか。芯のある強い女性だと思います。
源氏の懸想に思い悩むも今の安定した生活は全て源氏頼み、無下に連れなくもできない。
これは玉鬘の性格もあるでしょうが、自分の立場に恩を感じている部分が大きいように思いました。
兵部卿宮への手紙の代筆。
玉鬘になり変わって源氏どんな歌を詠まれたのでしょうね。
これは何とな私自身にも経験があり解るような・・・
立場的には大いに違いますが高校時代、友人のラブレターの代筆をしたことがあります。
それとこの場面で唐突に思い浮かんだのはフランスの戯曲、シラノ・ド・ベルジュラックのあの鼻の大きい男です。
これも内容的には異質ですが「代弁」という意味においての想像です・・・
玉鬘を想像しながらいろんなことを思い浮かべた場面でした。
ありがとうございます。
1.帚木の雨夜の品定めもそうでしたがこの五月雨の季節は誰しも恋に悶々とする季節なんでしょうか。折口信夫の「ながめ」(男女が性的にぼんやりしている様子)を想起しました。まあ季節病の一種かもしれません。
2.代弁、代筆、面白いですね。ラブレターの代筆をされましたか。文章も字もお上手だったからこそですね。今だとさしずめ携帯メールを代って打つみたいなことでしょうか。
この場面での代筆の内容知りたいですねぇ。でも書いてしまうとそれに沿った物語にしていかなければなりませんから端折ったのでしょう。