p16 – 26
3.源氏、玉鬘を訪れ、明石の御方に泊る
〈p249 明石の姫君のほうへお越しになりますと〉
①紫の上との年賀を終え源氏は方々の巡回へ、先ずは明石の姫君の所へ
実母明石の君からの歌が来ている
年月をまつにひかれて経る人にけふ鶯の初音きかせよ 代表歌
→大堰で別れて4年経っている。同じ六条院だが春の町と冬の町に別れており会うことができない。
→徳川美術館所蔵の国宝初音の調度(初音蒔絵貝桶)
明石の姫君の実母への返歌
ひきわかれ年は経れども鶯の巣だちし松の根をわすれめや
→幼い詠み振りでいいじゃないでしょうか。
②次に夏の町花散里の所へ
今はあながちに近やかなる御ありさまももてなしきこえたまはざりけり
→いつもながら二人は同衾の関係ではないと強調される
源氏の心内
我ならざらん人は見ざめしぬべき御ありさまを、かくて見るこそうれしく本意あれ
→この私だから面倒見てあげているのだ、、、、何とも自分本位の考えで私は嫌いです。
③次に夏の町の西の対、玉鬘の所へ
玉鬘は山吹のイメージ。六条院に来て間もないのに如何にも洗練されて抜群の器量であることが強調される。
→花散里の描写との対比が強烈
→六条院の新しき若きシンボルを強調している
語り手の予測の言葉 えしも見過ぐしたまふまじくや
→源氏の恋心はどのように発展するのだろう、、、読者の興味は盛り上がる。
玉鬘 「のたまはせんままにこそは」
→いかにも素直な玉鬘、好感度抜群です。
④そして冬の町明石の君の所へ
あくまで気高い明石の君の様子が語られる
明石の方独詠 めづらしや花のねぐらに木づたひて谷のふる巣をとへる鶯
→源氏が来てくれたのは嬉しいが、姫君に会えないのは切ない
新しき年の御騒がれもやとつつましけれど、こなたにとまりたまひぬ
→えっ、それはないでしょうよ源氏の君!
→源氏は最初からそのつもりだったのか、明石の君に会って心が変わったのか。
まだ曙のほどに渡りたまひぬ
→どうも中途半端、これでは明石の君にも不満が残る。
→いくら多妻の世の中とはいえこれでは不自然だと思います。
4.臨時客の盛宴 管弦のうちに春日暮れる
〈p257 今日正月二日は、臨時招宴の日で、〉
①明けて2日、年賀の客が大勢来て華やかな宴会
→皆新築の六条院に源氏を訪ねる(そこには新しきヒロイン玉鬘もいる)ことを楽しみにしている。
→源氏も自身の栄華をしみじみと噛みしめたことであろう。
源氏、それぞれの女君を訪問、何と贅沢な巡回でしょう。
明石の君と姫君のお歌、母子の情が伝わります。
花散里には夕霧、玉鬘のお世話をお願いしたりで源氏も頼り頼られという感じですね。
せっかくの衣配りのお召し物もあまりお似合いになっていないのでしょうか?
それに引き換え玉鬘 明石の君は絶賛ですね。
元旦早々の外泊、源氏の言い訳がユーモラス。
迎えうつ紫の上
「ことなる御答へもなければ、わずらはしくて、空寝をしつつ、日高く御殿籠り起きたり」
またもや波乱が想像されます。
ありがとうございます。
源氏の女君廻りのローテーションがどうなってたか分かりませんが、元日の夜が明石の君で朝帰りとは紫の上にはショックだったでしょうね。
私の想像は、当初は帰るつもりだったのだと思います。ところが明石の君と姫君との何とも哀しい歌の贈答を見て源氏は俄かに明石の君に申し訳ないとの気持ちが生じたのではないでしょうか。紫の上には悪いこと百も承知でそうせざるを得なかった。源氏の気持ちを理解してあげたい気がしています。とにかく親子の歌の贈答が哀しいのです。