p122 – 130
5.入道の住いの風情、都に劣らず
〈p107 明石の浜の景色は、〉
①明石の様子。須磨より人が多い。
岡辺の宿(高台)に明石の君、浜の館(浜辺)に入道と源氏
②入道邸の豪華な様子。受領となった者の裕福さ。
木立、立石、前栽、入江の水 → 都の貴族邸に劣らず
③山の女(北山でみつけた)紫の上 vs 海の女 明石の君
紫のゆかり vs 明石物語 この二人の対比が続いていく
④入道はここで初めて源氏を見る。念願かなってさぞ嬉しかったことであろう。
6.紫の上へ消息を送る 源氏の心なごむ
〈p109 少しお気持ちが落ち着かれてから、〉
①二条院から来てた賎の男(使い)に明石へ移った経緯を文にして持ち帰らせる。
紫の上、藤壷他都で心配していた人々もホッとしたことだろう。
②はるかにも思ひやるかな知らざりし浦よりをちに浦づたひして(源氏)
知らざりし浦=須磨 「浦づたひ」=明石の異名 (思えば遠くへ来たもんだ)
7.明石の入道の人柄とその人の思惑
〈p111 この邸の主人である入道は、〉
①明石の入道の人柄・容貌
60才ばかり。痩せている。頑固偏屈だが仏道に勤しみ旧事に通じ教養もある。
→太って成金趣味で無教養な田舎者とは違う入道のあらまほしき姿
②入道は折に触れ源氏と色々話し、娘のことを暗に匂わす。源氏はピンときて興味はそそられるが紫の上への遠慮もある(この辺やけに純情だなあと思うのですが)。
③明石の君は「やれやれ、私なんぞとんでもないわ、、」と思っている。
→ごく自然であろう。
入道の屋敷の造作、都の造りに勝るとも劣らない風情、源氏の目にもそのように映るのは相当豪邸のようですね。
しかも海辺と山の手に構えている・・・
お互いに神仏の加護とも救世主とも思えるような運命を感じます。
これも故院の御計らいでしょうか?
入道、財力にものを言わせた卑しい人柄ではないようですね。
娘可愛さに身の程知らずの志を持っているものの教養も気品もあり相当の人物に見受けられます。
明石の君もちゃんと身の程弁えている。
しゃしゃり出ないし控え目、良いですね。
ありがとうございます。
この段明石の入道の説明がなされてますが実に魅力的な人物を登場させたものだと感心してしまいます。須磨で初出の時に出自はおさえましたがここで人柄が述べられています。俗世を捨て仏道に勤しむと言いつつ娘を頂点まで昇らせようと野心を燃やす。和歌に通じ琵琶・琴は達人、弁もたつ。そして何よりも総合的に人品骨柄が際立つ。素晴らしい男だと思います。紫式部も相当感情移入して入道に語らせています(この後も入道の長口舌が随所に出てきます)。
入道はこの時60才(ばかり)とあるが明石の君は私のメモでは18才のはず(根拠忘れました。また調べます)。そうすると明石の君は入道の42才の時の子(しかも一人っこ)となります。まあこの辺少し不審なのですが明石一族の年令は余り詮索しない方がいいのかもしれません。