【お知らせ】
朗読欄が長くなったので明石まで各巻一つにまとめました。再生形式も従来のものに統一されました。どうぞご活用ください。→万葉さん、ありがとうございました。
p77 – 82
16.大宰大弐、上京の途次、源氏を見舞う
〈p69 その頃、大宰の大弐が任期を終えて〉
①大宰大弐が突然登場する。この人のことよく分からないが恐らく源氏のバックアップで今の地位に上り詰めた男で源氏に恩義を感じていたのであろう。
②その娘が「筑紫の五節」と言われる女性で花散里の巻にチラッと登場する。五節の舞姫に選ばれた時に源氏が見初め逢瀬のひと時があったのであろう(何も書かれていません)。以来お互い交信はしている。
③この一行が大宰府での勤めを終えて都に帰る。その途上源氏が須磨にいることを聞きつけ消息を交す。源氏が如何に色んな人の面倒をみてきたのかを示すエピソードとして挿入されているのであろうか。
④流人として小野篁・菅原道真が引合いに出される。取分け道真は有名であり作者も一番意識したのであろう。
17.弘徽殿の意向を憚る人々と二条院の状況
〈p72 都では月日が経つにつれて、〉
①春宮は8才、源氏を恋偲んでいる。
②源氏の兄弟姉妹や家来たちも源氏に見舞状を出したり消息を交しあい励まし慰めている。
→これが弘徽殿大后には気に入らない。
③弘徽殿大后の言葉
朝廷の堪事なる人は、心にまかせてこの世のあぢはひをだに知ること難うこそあなれ、おもしろき家居して、世の中を謗りもどきてかの鹿を馬と言ひけむ人のひがめるやうに追従する
→誠にごもっともな道理ではなかろうか。
史記が引かれている。弘徽殿大后は源氏物語の中で一番漢籍を知っていた女性と言われている。(理詰めなところなども紫式部に通じているのではなかろうか)
④二条院西の対 紫の上の様子。
源氏の召人であった中務・中将なども今や西の対に移り紫の上に伺候している。この召人たちも紫の上の人柄に感化され一心に尽くしている。
→紫の上が如何に心やさしく気配りのきいた女性であったかを強調している。
細かいところなのですが、少し気になったので質問です。
須磨16の80頁1行目「ほほ笑みて」の解釈です。脚注には「苦笑に近い」とありますが、「微笑する、にっこり笑う」と理解したほうが良いと思いませんか? 須磨に侘しく暮らしている源氏にとって、かりそめの恋の相手だったとしても、五節から思いがけなく文や和歌がおくられてきたのを嬉しく感じたように思うのですが・・・
ありがとうございます。
そうですよね。「苦笑」ではないでしょうね。正しく「微笑して」(大きく声は立てないけどにんまりと)でしょうね。
「ふふっ、嬉しいこと言ってくれるじゃないか、、でもこのザマなんだよなあ(ここでやや自嘲的な感じが入るのかもしれない)」
てな風に思いました。
「ほほ笑みて」の脚注「かた頬に笑みを浮かべる、苦笑に近い」とありますが以前にも確かこの注釈が出てきたような気がするのですが・・・
それがどのページでどの場面だったのか思い出せずそうなるともういけません。
気になって仕方がありません。
夕べ一晩過去のテキストを遡って繰ってみましたがとうとう突っ伏して寝てしまいました。
これは清々爺さんに聞いた方が早いとあきらめた次第・・・
確か私はかた頬に笑みを浮かべると苦笑になるかどうか鏡の前で試したのです。
その時の場面は「苦笑」がぴったりの表現だったと記憶しています。
でも今回はちょっと式部さん同様違和感。
「にこやか」も今の源氏の立場からは少し違うようで好色と自嘲が入り混じった複雑なほほ笑みかな?
探しているうちに他にも見つけた「ほほ笑みて」にはうす笑いとかうすら笑いがあり、又「うちほほ笑む」は含みのある笑いというのもありました。
笑いの種類にもいろいろあるなと感じた次第です。
それと弘徽殿大后の博識。
帝の第一夫人だけに単なるいじわるだけではなく生まれも育ちも良く教養も備えた后ということを認識しました。
性格が良ければ物語になりませんものね。
弘徽殿大后は憎らしいけどちゃんと役割をはたしているわけですね。
ありがとうございます。
1.苦笑する場面ってどこだったかなあ、末摘花か雨夜の品定めだろうかと思い探してみました。青玉さんの言われてる場面かどうか定かじゃないですが一つありました。
帚木9 p110 君、すこしかた笑みて、さることとは思すべかめり。
左欄の現代語訳に「源氏の君は、片頬に笑みをうかべて」とあります。
まあここは苦笑の場面でしょうね。
因みに「片笑む」を広辞苑で引くと「片頬に笑みをうかべる。ちょっと笑う。微笑する」とあり、帚木のこの場面が引かれています。
笑いにも色々ある、それを使い分けてる紫式部もエライし、鏡の前でそれを試す青玉さんもエライと思います。
2.弘徽殿大后を評価いただき嬉しいです。博識といい性格といい紫式部は自分を投影して弘徽殿大后を作りあげたのではないでしょうか。
さすが清々爺さん、有難うございました。
すっきりしました。
君、すこしかた笑みて、さることとは思すべかめり。
現代語訳の方でしたのね。
やはり気になる所や気づいた所は何らかのマークをつけると良いですね。今回それを強く感じました。
大体私は面倒くさがりで、そういう作業が苦手なのですが今回みたいな事があると後で役立つことがわかりました。
私は源氏をスタートしてからテキストを何度行きつ戻りつしていることでしょう。