p222 – 226
3.源氏、麗景殿女御と昔語りをする
〈p320 目ざすお方のところは、全く想像しておられた通りで、〉
①先ず麗景殿女御のところで昔話。
睦ましうなつかしき方
→「なつかし」これがキーワード。花散里の形容詞としてもいつも用いられる。
身近におきたい、心が惹かれる、好ましい、の意(用語集より)
②源氏 橘の香をなつかしみほととぎす花散る里をたづねてぞとふ
麗景殿女御 人目なく荒れたる宿は橘の花こそ軒のつまとなりけれ
古歌を引用しあっての歌の応酬。橘の花の香りは特別のものであった。
4.西面に花散里を訪れ、懐かしく語らう
〈p322 西側のお部屋には、さりげなく忍びやかに、〉
①花散里との対面がごく簡単に述べられる。どう夜を過ごしたかなど何も書かれていない。それがこの女君との関係を表わしているのであろうか。
②花散里、この女君についてはもっと後で考えることにしましょう。
この二場面ともにさらりと描かれており、しみじみとした懐かしさを覚えます。
前巻の重苦しい場面とは打って変わり何かほっと一息つけるようで、源氏も心慰められたのではないでしょうか?
「間奏曲のような一帖」とありましたが言い得て妙の感ありです。
ひそやかに恋ひ訪ぬれば橘の
香りなつかし花の散る里
ありがとうございます。
1.この季節というと必ず花橘・ほととぎす・五月雨がセットで出てきます。こういうワンパターンも大事なことなんでしょう。そして橘は花より香りなんですね。
五月まつ花橘の香をかげば昔の人の袖の香ぞする
これは有名な歌ですね。色んなところで引用されています。
2.花散里の歌、いいですね。夏の人、花散里。豪雨の右大臣邸でかっこ悪いことになり落ち込んでいた源氏。逢って一番癒されるこの人の所にひそやかに出かけたのだと思います。