喪に服していた左大臣邸から舞台は桐壷院を経て二条院に移り紫の上との新枕の場面になります。
p88 – 96
25.源氏、桐壷院並びに藤壷の宮に参上する
〈p210 源氏の君が院へ参上いたしますと、〉
仙洞御所に父院&藤壷の宮を訪ねる。さすがにここでは葵の上への弔意をいただいたことへのお礼で精いっぱいだったのであろう。
26.源氏、二条院に帰り紫の上の成人を知る
〈p212 二条の院では、邸中のお部屋を磨き清めて、〉
①久しぶりに源氏が帰った二条院の様子。不在中は里に暇を出されていた者たちも急遽戻ってくる。賑わしい様子。
②紫の上の初々しい様子。久しぶりで人見知りしている様がかわいい。
③中将の君(召人)に足をもませる。
御足などまゐりすさびて大殿籠りぬ
当然ここでは♡♡であります。
27.源氏、紫の上と新枕をかわす
〈p214 所在ないままに、源氏の君はただ西の対で、〉
①紫の上とは碁を打ったり漢字遊びをしたり。いっしょに遊び過ごし教育している。
②男君はとく起きたまひて、女君はさらに起きたまはぬ朝あり
男女の関係を語るには「男」「女」と表現される。二人の初夜を語る有名なフレーズです。時に源氏22才、紫の上14才。二条院に連れてきて丁度4年ですね。
③あやなくも隔てけるかな夜を重ねさすがに馴れし夜の衣を
代表歌です。
④驚き、戸惑い、怒り、恥ずかしがり、すねる紫の上。
機嫌を直してくれない紫の上を愛おしむ源氏。
この段は何度読んでもいいなあと思います。
正妻葵の上が舞台から去り、若紫が紫の上として成長する。源氏はこの女性をどのように遇していくのか、読者の期待は高まったことでしょう。
院、中宮共に源氏へのしみじみとしたいたわりが感じられる場面です。
一方場面はぱっと変わり華やかな二条院へと。
久しぶりの紫の上は新鮮で見違えるようなお姿だったのでしょう。
俄かに愛おしさが増す源氏、もうこれは見過ごすことはできなかったのでしょう。
ここでご決心なされたのでは?
喪中にもかかわらず新枕を交わされる。
男君はとく起きたまひて、女君はさらに起きたまはぬ朝あり
これですべてが表現される・・・すごいです。
読む人はそれを自由に想像しながら解釈すればいいわけです。
映像を思い浮かべるも良し・・・
紫の上の驚き、ショック。
「若紫」から「紫の上」誕生の吉日でもあるわけですね。
人生相談で色々なアドバイスを受けていた紫の上もやはり初めてのこととてびっくりしたことでしょう。読者も予想はしてたものの四十九日が過ぎるや否やの荒業には「えっ、ちょっとお~~」と思ったのじゃないでしょうか。
世界文学史上一番の処女喪失場面でしょうね。
(世界文学何ほども読んでいませんが)