花宴(4・5・6) 藤の宴 正体は六の君

p256 – 264
4.源氏、二条院に退出、紫の上を見る
 〈p133 左大臣家にも、久しくご無沙汰をしてしまったと、〉

  忙しい中にも紫の上の教育は怠らない。連れてきてから1年3~4か月経ってすっかり馴染んでいる。 → 可愛くて仕方がなかったのだろう。

5.源氏、大殿を訪れ、大臣らと語る 
 〈p134 左大臣家では、女君が例によってすぐにはお逢いになりません。〉

 ①左大臣邸 葵の上は相変わらず。 大殿には、例の、ふとも対面したまはず

 ②左大臣と源氏の対話。左大臣家の繁栄が愛でられる。
   → これで葵の上に娘が生まれたら最高だったのに。

6.右大臣家の藤の宴で、朧月夜の君と再会
 〈p135 あの朧月夜の夜の姫君は、〉

 ①三月二十余日 藤の宴 @右大臣邸(実に藤壷の三条宮の西隣り!)
  ちょうど内裏での花の宴から一ヶ月後である。

 ②この右大臣邸は当然弘徽殿女御のお里で、ここで春宮も女君も生まれた。
  ここに源氏が招かれていく。

 ③桜の唐の綺の御直衣、葡萄染の下襲、裾いと長く引きて
  源氏の衣装、まことにあでやか。他の人は礼装のところ源氏だけがピンク色と葡萄色の襲で登場。そりゃあすごいでしょう。

 ④藤の花の宴、御簾の下から競うように女房たちの袖口が出されている=出し衣(いだしぎぬ)

 ⑤扇を取られてからきめを見る
   → ここでも催馬楽石川が引かれて謎がとかれる。

 ⑥朧月夜 心いる方ならませばゆみはりのつきなき空に迷はましやは 代表歌

 ⑦藤原俊成(定家の父)がこの巻を絶賛し「花の宴の巻は殊に艶あるものなり。源氏見ざる歌詠みは遺恨の事也」と言っています。特に2.で朧月夜が詠む
  うき身世にやがて消えなば尋ねても草の原をば問はじとや思ふ 

  の「草の原」が今まで詠まれたことがなかった表現ですごいということらしい。
   → よく分かりませんがそういうものなんでしょうか。  
    

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4 Responses to 花宴(4・5・6) 藤の宴 正体は六の君

  1. 青玉 のコメント:

    藤の宴で朧月夜と再会するのですね。
    紅葉、桜、藤へと季節感、時の流れが感じられてなかなか素敵です。
    その間、「紫の上」や「葵の上」がさりげなく散りばめられていて物語に振幅が見られます。

    右大臣邸での源氏の装束がとても個性的で素敵です。
    ずっと思っていたことですが源氏のセンスはとても斬新ですね。
    色使いと言い、天性のものを感じます。

    朧月夜の歌「草の原」私は草葉を想像しました。
    よく言うじゃないですか、草葉の陰・・・なんてちょっと単純すぎるかしら?

          春の夜の宴の契りおぼろげに
                扇交わせり花酔い人よ

    この歌、苦労なく読み終えてすぐに浮かびました。
    偶然にも晶子と初句「春の夜の」が同じ、晶子の歌は知らなかったので驚くと同時にうれしくなりました。
    割合、一句目ってインスピレーションが働きますものね・・・

    • 清々爺 のコメント:

      1.花につけ月につけ歌を詠み合い、弦楽・舞踊。お酒が入る。つくづくいいなあと思います。

      2.源氏の服装はいつも洒落ててセンスの良さを伺わせます。紫式部は見聞きした名だたる洒落者貴族の服装を常に記憶にとどめ源氏に着せたのでしょうね。
       それにしてもこの藤の宴での服装(色調)はファッションのセンスなど全くない私にもすごいなあと思わせます。

      3.草の原→死後の魂のありか→草葉→お墓 なるほど、いいですね。
       なお草の原の本歌は、

         見し秋を何に残さぬ草の原ひとつに変る野辺の気色に 藤原良経

       とのことです。

      4.和歌、これはいい。私は与謝野晶子のより好きです。
        与謝野晶子の歌の解説書みつけました。17日の投稿に載せましたが先行公開しておきます。下記をコピーして検索してみてください。
          libir.soka.ac.jp/dspace/bitstream/10911/2981/1/KJ00004859909.pdf

  2. 青玉 のコメント:

    まあ!!何と言うことでしょうか、懐かしいお名前を見つけました。
    ご紹介の解説をされている西田禎元先生は私の大学時代の恩師です。
    万葉集、平安の女流日記文学、近代小説、近代詩の流れについてレポートを見ていただいたり興味深い授業を受けました。
    そう言えば源氏物語では西田先生から帚木の場面の解説を受けました。
    この時に「ははきぎ」の読みを覚えたのを思い出しました。
    授業の内容はすっかり忘れてしまいましたが・・・
    冒頭に私の名前読めますか?が第一声でした。

    ご紹介に感謝、お気に入りに追加しておきました。
    私が現在このような形で源氏物語のブログにかかわっているとは先生、夢にも思っていらっしゃらないでしょう。
    それよりも私の事などは大勢の学生の一人ですから忘れていらっしゃることでしょう。
    茂吉や光太郎のことも話題になりましたね。
    今日は何だか学生時代を思い出して興奮してしまいました。

    • 清々爺 のコメント:

      偶然とはいえ役にたててよかったです。思えば狭い社会ですね。

      と言うよりインターネットって凄いなあと改めて思いました。ネットがなければ西田先生の解説が目に触れることなどなかったろうし、早い話このブログもあり得ない訳ですからね。ありがたいことです(と同時にネット社会の怖さも感じます)。

      因みに私は明日載せる晶子の葵の歌がよく分からなくて歌をそっくり書いて検索したら西田先生の解説に行き当たりました。これ非常に簡潔で要を得ており参考になると思います。

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