空蝉のまとめです。
和歌
5.空蝉の身をかへてける木のもとになほ人がらのなつかしきかな
(源氏)
6.空蝉の羽におく露の木がくれてしのびしのびにぬるる袖かな
(空蝉)
名場面
6.「正絹なる単衣をひとつ着てすべり出でにけり」
(P176 碁打ち覗き見~侵入)
短いので名場面は一つにしました。各種源氏絵でもやはりこの場面だと思います。
[「空蝉」を終えてのブログ作成者の感想]
空蝉はごく短い巻です。でも帚木後半とまとめて考えると長さはまずまずでしょうか。
内容的には何せ雨夜の品定めの実践第一弾ですから読む方としても面白かったのではないでしょうか。
青玉さんの言を借りれば「雨夜の品定めを地で行く源氏」その通りですね。
雨夜の品定めで中の品の女性の話を聞いてすぐ実行した、これぞ「有聞実行」じゃないでしょうか。
小君と源氏の関係について議論が盛り上がったのは嬉しかったです。こういう風に進めて行くと記憶に残りますからね。
進乃君さんが「つぶつぶと肥えた」軒端荻に大笑いしたと聞いて私も大笑いしました。最近頓に源氏物語はユーモアの書ではないかと感じています。今後も面白い語法・表現がいっぱい出てきます。期待してください。
私も源氏物語は宮廷の恋物語だとばかり思っていましたが、単なる恋のお話ではなさそうですね。
面白くて興味深い表現がここかしこに見られます。
ひょっとして紫式部は真面目な才女だけではなくウイットに富んだユーモアな一面もあったのでしょうね。
次、「夕顔」楽しみに期待しています。
どんな女性かな?
面白いなあと思う表現が一番多いのはやはり会話の部分でしょうか。源氏と小君の問答、これから出てくる惟光との問答なんかも笑えます。末摘花と近江の君のところは爆笑ものです。むつっとした朝の満員電車の中でそんな部分にくると笑い声を禁じられなくて困ってしまうほどでした。
それと、語り手の地の部分(感想を述べる部分)にもさらっとした傑作がけっこうありますよ。
さて明日から夕顔です。空蝉に逃げられ代用品では満足できず心に秘めたる人とは何ともできずさりとて家に帰りたくない症候群の源氏。そんな源氏を癒してくれるべく登場した女性が夕顔という位置づけなんでしょうか。乞うご期待です。
帚木~空蝉、面白いですね。
僕は「碁打ち覗き見」の場面を名場面に上げたい(笑)。もちろん「源氏侵入~アレッ人違い」も名場面ではありますが。軒端の荻の「つぶつぶと」の表現は治ちゃんの「窯変」では「堂々とした…色はあくまで白く…水を弾くような見事な肉付き」としています。健康的なグラマーだったんでしょうね。
小君については、最初の方違えの時に、幾人か子供がいてその中に「けはいあてはかにて、十二三ばかりなるもあり」と原文にありますね。まぁ、12~13歳でもおっさんみたいなのもいれば、小学生みたいなのもいるけど。12歳だとすると、源氏とは5歳差! これで、宮中を連れ歩き、親代わりのように面倒を見るというのだから源氏にもちょっとビックリですね。
軒端の荻、小君、両方とも印象的なバイプレイヤーだけにもっと登場してもよかったのに。
「ながめ」の折口信夫の解釈、「へえぇ!そんな意味があったのか」と目ウロコでした。ちなみに「窯変」ではこれに関して言及なし。ま、地が源氏の独白だから……とはいえますが。
きっちりフォローしていただいておりありがとうございます。
1.確かに碁打ち覗き見のところはいいですね。だって源氏絵は大抵この場面でしょうしね。まあ、覗き見~侵入まで一連の名場面と考えておきましょうか。
2.「つぶつぶと」だけでそんなに説明するのですか。長くなる筈ですね。でも橋本治の思いのたけが述べられているようで何れは読んでみようと思っています。それにしても「水を弾くような見事な肉付き」なんてよく書けますね。さすが「背中の銀杏が泣いている」ですね。
3.小君の年令。そうですね、12~3才とありましたね。源氏は12才で結婚してる。源氏はおっさんみたい、小君は小学生みたいだったのですかね。面白い。。
4.「光る源氏の物語」の中で丸谷才一が折口信夫の「ながめ」についての有名な説として引用紹介しています。
折口信夫
「ながめ」は男女が性的にぼんやりしているときの気持ちだ。性欲が満たされずに、ぼんやりしている気持ちだ。日本の農村には霖雨期(5月、10月)には厳重な物忌があった。長雨の物忌、「ながめいみ」である。この時期には、田の神が出て来ているので、農村の男女はかたらいをしない。
季節的なこと、物忌みのこと複雑ですね。5月、10月は農繁期で男女の語らいなど許されずひたすら農作業に勤しむ時期だったのですかねぇ。
清々爺
空蝉を面白く一気に読みました。
一つ質問があります。帚木の〈16〉 152ページに「あこは知らじな。その伊予の翁よりは先に見し人ぞ。」とあり、空蝉とは以前より関係があったと言っています。ここまでの物語の流れだと、今回が初めて契りを交わした設定だと信じ込んでいたので、意外です。空蝉の巻で説明があるかと読んでみましたが、何もなしでした。
以前から思い焦がれて今回二度目の契りを交わしたのか、源氏の君が大人になって以前とは違う気持ちが今回湧きでてきたのか、どうも計り知ることができません。あまり気にせずともよいのかもしれませんが、ご意見あれば教えてください。
よく読み込んでますね。どうぞ気になったところは気軽にこの欄にぶつけて下さい。
152ページの源氏の小君への話は源氏お得意の口から出まかせの作り話です(脚注10参照)。小君をからかいながら再度の手引きをそそのかす。うまいものですね。
源氏がどれほど空蝉のことを知っていたのかですが、紀伊守邸へ方違えに行くとなって紀伊守とその周りの女性のことを調べたのかもしれません。紀伊守の老父伊予介の奥方も来ていると聞きどんな女性かすぐ調べさせ昔入内を望むような女性だったという情報は持っていたのじゃないでしょうか。そしてそれなら是非いただかなくっちゃと勇んで紀伊守邸に赴いた、、、と踏んでいるのですが、邪推に過ぎますかね。
何れにせよ空蝉とは最初(そして最後)だったこと間違いないと思います。
清々爺
なるほど、良く分かりました。源氏はしたたかな男と頭に叩き込んでおきます。ありがとう。