東屋(12・13・14) 中将の君、中の君に一筆啓上

p44-50
12.常陸介、実の娘の婚儀の用意に奔走する
 〈p213 守は婚礼の支度にそわそわ駆け回って、〉

 ①介にとっては予想もしてなかった急な話でテンヤワンヤだったことだろう。
  「女房など、こなたにめやすきあまたあなるを、このほどはあらせたまへ」
  →「女房、貸してくれ」なんてありなんですかねぇ。

 ②介「人の御心は見知りはてぬ。ただ同じ子なれば、さりともいとかくは思ひ放ちたまはじとこそ思ひつれ」
  →少将が乗り換えた娘も中将の君の実の娘。介の嘆きも分かる気がする。

 ③「十五六のほどにて、いと小さやかにふくらかなる人の、髪うつくしげにて小袿のほどなり、、」
  →この娘も妙齢である。娘には罪はない。

13.中将の君、中の君に浮舟の庇護を依頼する
 〈p215 母君と、姫君の乳母は、〉

 ①中将の君、中の君に一筆啓上
  →そんなに親しくもあるまいにこの母君いささか図々しい。

 ②「つつしむべきことはべりて、しばし所かへさせんと思ふたまふる
  →物忌みで方違えが必要。便利な言い訳である。

 ③中の君 「故宮のさばかりゆるしたまはでやみにし人を、我ひとり残りて、知り語らはんもいとつつましけ、、」
  →父が認知してないということは中の君も妹だとは言えない。中の君が煩わしく思うのも道理である。

 ④御方も、かの御あたりをば睦びきこえまほしと思ふ心なれば、なかなかかかることどもの出で来たるをうれしと思ふ。
  →まだ浮舟の心は語られていないが先ずはゆかりある貴人の所へゆけるのは嬉しかったのであろう。

14.常陸介、左近少将を大いに歓待する
 〈p217 守は、新婿の少将のもてなしを、〉

 ①新婿を迎えての介の歓待ぶり
  ただ、あららかなる東絹どもを、押しまろがして投げ出でつ、食物もところせきまでなん運び出でて、ののしりける。
  →ただただ金に飽かせての大盤振る舞い。公家社会からみれば顰蹙の図であろうが、、。
  →少将は「してやったり」と得意げであったのではなかろうか。

 ②家は広けれど、源少納言、東の対には住む、男子などの多かるに、所もなし、、
  →常陸介邸がどこにあったのか不明だが(何となく下町の五条六条あたりではなかろうか)、婿が沢山いて大賑わいだったのであろう。
  →浮舟の住む場所ではなさそうである。

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2 Responses to 東屋(12・13・14) 中将の君、中の君に一筆啓上

  1. 青玉 のコメント:

    介の単純明快軽薄な性格がよく現われていて笑ってしまいます。
    中将の君もこの介にしてこの妻ありといったところでしょうかね~

    方違え、源氏の頃から便利に使われていますよね。

    このような常陸介邸の環境から抜け出すには浮舟にとって中の君は頼るべき存在で心ときめくのも解らないではありません。
    中の君にとっては有難迷惑だったでしょうね。

    • 清々爺 のコメント:

      ありがとうございます。

      中将の君が中の君に一筆啓上。いささか図々しいと書きましたが切羽詰まったここは仕方なかったのでしょうね。少将に振られ逆に闘争心が出て来たのでしょう。匂宮夫人ということで今をときめく中の君、その中の君と浮舟は腹こそ違え(劣り腹の自分だが)同じ八の宮の娘であることには間違いない。なんでこのまま引き下がりょうか、、、中将の君が心を決めた一瞬だと思います。中の君の存在がなかったら浮舟の薫や匂宮への接近はあり得なかったでしょう。中の君には迷惑かもしれませんが是非ご協力を、、、といった所ですかね。

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