p230 – 246
30.匂宮の文来たる 姫君たち心ごころに読む
〈p311 すっかり夜も更けて暗くなった頃、〉
①中の君の呼び方=御方(匂宮の夫人であるということ)
→ああ、それなのに。
②匂宮 ながむるは同じ雲居をいかなればおぼつかなさをそふる時雨ぞ
→常套句だと大君には喝破されているが匂宮としては精一杯の所か。
→訪れないまでも連日手紙と歌攻勢で誠意を訴えるべきであったろうに。
③中の君 ほど経るにつけても恋しく、さばかりところせきまで契りおきたまひしを、さりとも、いとかくてはやまじと思ひなほす心ぞ常にそひける。
→私をあれほど慈しんで下さった匂宮さまがこのまま私を見捨てることはないでしょうに、、、そうです。信じなくっちゃ。
31.匂宮、雑事に紛れて気にかけつつも訪れず
〈p314 それは十月も末の日のことでした。〉
①匂宮、11月は新嘗祭・五節舞と公務繁多で宇治に出かけられない。
②母中宮からは「六の君を正妻にしてその中の君とやらを召人にしたらいいじゃないの」と繰り返し諭される。
32.薫、重態の大君を看護 大君、薫を拒まず
〈p315 薫の君も、匂宮とは思ったより軽薄で〉
①中納言も、見しほどよりは軽びたる御心かな、さりともと思ひきこえけるもいとほしく心からおぼえつつ、をさをさ参りたまはず。
→薫よ、それはないだろう。匂宮と中の君との恋のプロデューサーは君ではなかったのか。匂宮の友だちとしても中の君の後見者としてもマズイのではないか。
②11月、大君重病と聞いて薫が駆けつける。
「心憂く。などか、かくとも告げたまはざりける。院にも内裏にも、あさましく事しげきころにて、日ごろもえ聞こえざりつるおぼつかなさ」
→それは言い訳というものだろう。先に大君を訪ねた時この事態は容易に予知できたであろうに。秀才薫にしてはいかにもちぐはぐでどこかおかしい。
③薫、大君の手をとらえて話しかけるに、大君、
「心地にはおぼえながら、もの言ふがいと苦しくてなん。日ごろ、訪れたまはざりつれば、おぼつかなくて過ぎはべりぬべきにやと口惜しくこそはべりつれ」
→この時の大君の心はどうであったのか。脚注6参照。
→大君は薫を夫としてacceptする気持ちになったのだろうか。そこまではなかったと思うのだが如何でしょう。
④大君 かかるべき契りこそはありけめと思して、こよなうのどかにうしろやすき御心を、かの片つ方の人に見くらべたてまつりたまへば、あはれとも思ひ知られにたり。
→「かかるべき契り」とは何だろう。
→大君の薫への好意を示すものではあろうが恋情まではいってないだろう。
→やはり薫はもっと早く大君とコトに及んでおくべきであったろう。機会は何度もあったのに。
待ちかねた匂宮の文にも姉妹それぞれの反応が異なりますね。
あくまでも匂宮を恨みがましく思う大君に対し夫を信じようとする健気な中の君・・・
薫、大君に付きっきりの看護。
この場面も双方の気持ちがなかなか読みとれません。
薫の不安と焦燥はともかく大君の今際の言葉がどこまで真実なのかその心内は複雑すぎます。
もうすべてをかなぐり捨ててここは素直に心を開いて欲しいところですね。
何だか疲れてしまう総角ですね。
未だに歌も浮かんでこないしこの巻、いらつくばかりですっきりしません。
もういい加減にしてよと言ってしまえば実もふたもないですね。
ありがとうございます。
おっしゃる通りこの辺り読んでて本当に疲れます。ここまで来てもまだ大君は現実を見つめて部分的にでも認めることができないのかと思うと情けなくなります。中の君が匂宮を信じようとしている姿だけが救いです。歌が浮かばないのも宜なるかなです。いっそ大君の絶望を詠みあげてください。
結局大君は最後まで薫との結婚のことは考えてなかった。結婚恐怖症・拒否症のまま死のうとしています。恋愛や結婚にはエネルギーが必要です。飛び込む勇気・思い切りがないと結婚に踏み切れません。やはり若い時に希望に燃えて突き進むべきだと思います。
→以上頑迷な大君に事よせての個人的な感想です。